現在地はトップ>編集長ブログです。

編集長ブログ

きもの情報誌『月刊アレコレ』編集長のきものと締め切りの日々。

<< 2ページ/全10ページ >>

素材の謎と物語。

 着物の好きなところは、物語があるところです。

 

祖母が若い頃に着ていたとか、

母が小学校の入学式のときに着ていたきものとか、

お嫁入りのときに親が頑張って作ってくれたとか。

 

洋服でももちろん、いついつ着ていたという事実や記憶はあると思います。

でも着物の記憶って、校庭の大きな木の根元に埋めたタイムカプセルのような、

こみ上げる懐かしさと、思い出したときのキュンとした記憶が独特だなあと思います。

 

一昨日、やっと素材がわかった着物の話をしましたが、

すごく気になっている別な1枚がまだあります。

 

夏物です。麻です。織の縞柄です。

……が、が。地紋が入っているのです。

丸と四角とか市松とかいうようなパターン柄ではなく、画像ではちょっとわかりにくいですが、ススキのような植物の繊細な柄なのです。

縞の下にそのススキの地紋がほんのり見える……これって、どういう織り方でこうなるの?と思うのです。

 



この着物は、骨董屋さんで見つけました。

それも着物のリサイクルショップやアンティークショップではありません。

いわゆる、口の悪い人に言わせると“がらくた”(と素人にはみえるもの)を扱っているお店です。

“がらくた”は、陶器、書画、アクセサリー、人形、置物など。

そういう中で、針金のハンガーにぶら下げられて、

私から見ると、まるで晒し者のようにポリ帯やポリの七五三の被布などと一緒に店の外で埃にまみれて揺れていた品物でした。

通りかかったときに目に止まり、手にとって「麻だ」と思いました。でも縮じゃない。

見るからに寸法も小さい。だからこそ、かなり昔のものだなと思われました。

 

ちょっと埃っぽく、知らない人が見たらその麻独特のつるりとした手触りがポリに感じるかもしれません。

ちょっと女中さんっぽい縞。居敷当てもついてない。

背伏せの処理もちょっと素人っぽい、というか、本当に住み込みの若いねえやが、自分で不器用に縫ったのかもしれな(い――この辺りが、着物が持つ物語力です^^;妄想がたのしい)

生地はまだ“生気”があります。

レジに持って行、値札に付いていた500円を払って持ち帰りました。

家で洗ってから着たのですが、2回めに着たときに、座った途端お尻の生地がピッ。

糸が弱っていたんですね。でもそこが手縫いのいいところです。

生地が破ける前に糸が切れるように縫われているのですから。

これがミシン縫いなら、布が裂けているでしょう。

 

自他共に認める、ノーベル賞ものの不器用オンナですのでww(着物を着てる人が、皆手先が器用で、半衿、ほころびや寸法直しをスイスイとできると思わないでください^^;)

お友達に直してもらいました。

 



私の元に来てから67年は経つでしょうか。

縫い糸が弱くなってきているのでずっと着ていません。

着心地はいいのです。でも何より、この織りが気になって気になってしょうがないのです。

これも、いつか、解明したい思っている、眠れる宝物です。

下の画像は夏銘仙。透け感がしっかりある織物ですが、多分いまで言うB反だと思います。

織り傷がかなり大きく走っています。着ている分にはわかりにくいかもしれませんが。

これも、中流階級か、それ以下の暮らしをしていた女性が着ていたと思われます。


銘仙が流行った大きな理由は、廉価で買える絹物だったからです。

戦前から戦後すぐくらいまでは、一般庶民が持つ着物は、ある意味一張羅。

晴れ着でしたが、それが洒落着として手が届く絹物で、しかも柄も創意工夫がなされ、空前の大ヒットとなったのです。それだけ出回ったからこそ、いまにも残るものあるワケです。

抗菌クリーニングされて店先に出ていたものを購入、袖丈だけ直しました。

長い袖丈から若いお嬢さんが着たんだなとわかります。

この蚊取り線香みたいなグルグルが、私のとってツボでした^^

ただ、糸が良くないので、絹ですが紙のようにゴワゴワ。

素材がカラダに寄り添う感覚とは間逆なきものです。

でも手放さない^^ だって好きな柄なんだもーん♪


【袂に知恵と工夫。自分サイズのきもの生活をたのしもう。―月刊アレコレ】
アレコレは書店では売っていません。こちらからお申込みください。
毎月お手元に届きます。
バックナンバーはこちら。
また、お近くの取扱店でもどうぞ。

 

 

  

   



2013.06.16 Sunday 19:25comments(0)↑ページの先頭へ

「キレイな着方」の完成形考。

 

ちょっとしたことから……

あと24年間働く成り行きになっていることが発覚(笑)。

でも、そもそもそこまで生きないほうに自信がある、などと、

冗談のような本気のようなツイートを、密かに(笑)したところ、

 

「うんと長生きして、襟元ゆったり、
でも涼やかな着姿の完成型を見せて下さりませ〜〜〜!」

 

という、びみょーにw ウ、ウ、ウレシイ〜 レスが ^^;

 

確かにおばあちゃんの年代しかできない着こなしがあります。

衿芯を入れないで、上半身がきものの中で泳ぐようなゆったり感。

帯も、わざと?なくらい、曲がっていたりする……のが、またかたちになっている。

 

かつて『月刊アレコレ』で、「映像の向こう側」という、

松竹衣装のベテラン衣装さんのコラムを連載したことがありました。

その衣装さんの言い方を借りると

 

「昔は、日傘をさして、夏物を“ざくっ”と着たおばあちゃんを
銀座あたりでよく見かけたけどね、かっこいいんだよね〜。

僕らプロが着せようと思っても、ああいう着せ方はできないね」

 

“ざくっ”とは、カタカナの“ザクッ”とではなく、

織物だけれど、もう少し布の柔らかさがある、平仮名の“ざくっと”、なんですね。

 

「キレイな着方」と言います。

私達が目指している、あるいは共有している「キレイな着方」のビジュアルって、

多分、寸法があっていて、シワがあまりない、布がカラダにピッタリついている、
そんな着姿だと思います。

実際、撮影のときはそこを目指します。

でも撮影のときは着る人(モデル)に“人格”がないワケです。

極端かもしれませんが、マネキンに着せる感覚の美しさやキレイさを目指します。

 

でも、一般で着る人はそこに“人格”があります。

年代、職業、性格、好み、様々な人生の経歴も含めて、その人らしさという“人格”。

「キレイな着方」と言うより、「美しい着姿」は
その人らしさを表現できている着方なのだと思うのです。

してみると、「キレイな着方」を追っている私たちは、
まだまだ未熟なのかもしれないなあと。

 

おばあちゃんの「“ざくっ”とした着方」――それって、確かに“完成形”かもしれない。



かつて、「私の老後の目標は、人が言えないようなことをズケズケ言って」、

「人に嫌われるババア」になることと言ってたのですが(笑)、

しかし、「すでに目標達成してる」と言われ 

サッカーの中田のように、将来の自分探しをあらためてしなければならないと思っていたのです(爆)。
「完成形の着姿」――ひとつ、老後の目標ができましたワ

 

2013.06.12 Wednesday 07:00comments(0)↑ページの先頭へ

着物で腰痛を緩和 その2――ポイントは「紐」

 一昨日の「きもので腰痛緩和」、その後、です。

本日、日曜日の原稿書き。

先週からの背中・腰トラブル。やっぱり今日も背中と腰が張って鈍痛があるので、
午後からきものに着替えました。

で、一昨日のブログではちょっと触れていなかったことで、「きもので腰痛を緩和」するための大事なポイントをお伝えしておきます。 

きものの着方って、人それぞれ。

(自分的に)便利な道具を使う人もいると思います。

が、腰痛できものを着る場合、きものさえ着れば症状が緩和する、ということではありません。そこんところ、誤解があるといけないので、ちょっと触れておきます。

 私も情報を発信するという仕事柄、いろいろなものを識っておいたほうがいいというのがあり、自分の定番の着方以外の着方をしてみたり、グッズを使ってみたりします。


で、腰痛を緩和するために着るときは、 

余計な道具は要らない。「紐」が基本!

一昨日のブログでも、産婦人科医でマタニティヨーガの先生の言葉を借りてお伝えしているように、
「紐」が大事、大事、なのです。

なので、まずステテコはNG。骨盤をきゅっと締める裾よけを着けるのがポイント。(ステテコの上に裾よけならいいですが)

そして、きものに打つ腰紐はゴムベルトではなく、木綿かモスの普通の腰紐で同様にきゅっと締めます。(腰紐用のゴムベルト式のものがあり、使っている方も結構います。ワタシもきものの身丈によっては使うこともあります)

実を言うと私自身の腰紐の位置はやや高めです。が、腰痛のときにウェストの位置に紐を売ってもあまり効果がありません。やや位置を下ろして、やはり骨盤の位置にきゅっと結ぶと気持ちが良いんですね。

その気持ちよさは、背中・腰の張りと言いながら骨盤もあまり良い状態じゃないんだな、という実感を持ちます。

帯自体はきつく締める必要はなく、内臓から背骨をぐるりと包み込み、支える感じで。
今日は楽ちんなカルタ結びです。

洋服よりよほど楽です。
何十年きものを着ていますが、腰痛のためにきものに着替えたのは初めてです。
(ーー;

医療用コルセットというのは使ったことがないので、わかりませんが、Facebookでコメントをくださった方は「ロボットみたいな動き」になりますと言っていました。なので「きものがいちばん」と。もちろん、効果があっての医療用なのでしょうが、同じく腰痛に関してコメントをくださった浅草の辻屋の女将・富田さんは、ひどい腰痛が着物を着るようになって治ったとおっしゃっています。そういう方って、結構多いようです。きものを着る人にしかわからない“効能”ですね。

で、今日はユニクロのインナーに半襦袢、藍の阿波しじらに、半幅帯のおうちきものです。
因みにこの阿波しじらは仕立てて8年目。
木綿のしじら織りは結構縮みました。
普通、きものはタテに縮んでもヨコには縮まないものですが、
これは袖幅が縮んでしまい、もはや手持ちの襦袢が合わせられません。
夏用ということもあり、
筒袖で着ていますが、これはワッフル状というか、昔のパジャマの生地によくあったサッカー地様の地風なので、ヨコにも縮むようです。

もひとつ。どーでもいい説明(笑)。
写真の下に見える毛玉みたいな(笑)モフモフは、おてんばワンコのアタマでございます。^^;

    

『月刊アレコレ』は書店では販売していません。定期購読は  こちらから

バックナンバーはこちら

創刊号より、きくちいまの、書き下ろしイラストエッセイ「きものの引きだし」好評連載中です。


     

2013.06.02 Sunday 20:13comments(0)↑ページの先頭へ

補整のある、なしの違い。

 昨日、「腰痛のハナシ」で、おうちで着ていた着物をアップしました。

そのとき、たまたま、補整をした・しない写真があり、補整したほうがキレイだからコッチを使おうなんて、考えて……そういえば、補整のある・なし画像も紹介しておこうかなって思いつきました。

今日は、その同じコーディネートで、補整のあるパターンと、補整なしパターンの写真を比べてのお話です。

おうちきものは、洗濯物を増やしたくないし(着物の下着は洗濯物が多いのは事実です)、手早く着たいのもあって、また人の目を気にしなくていいわという着物だから、補整なしです。(補整なしがベストということではありません)

 で、同日、ちょっとした事情があって着替えをして、補整をしました。

補整以外は、着物も帯も、全く同じです。

 自分で言うのもナンですが、なんだかんだと結構きものを着ているので、

補整がなくてもそれなりに着ることはできるのですが、1日着たときの着崩れ感、それを直そうと気をつかうネガティブな部分、身体への負荷(紐の食い込みが身体に負担)、そういう諸々があって通常は大体補整はします。

 

で、比べてみてください。着た直後はまだそれほど着崩れは出ていないので、シワ等はそれほど目立っていませんが、補正無しのほうは胸の薄さで布のたるみがあります。

補整したほうはふっくらとした感じがあります。これは写真右の身頃の端っこのストライプをみるとよくわかります。

ストライプが真っ直ぐです。でも下の補整した写真ではストライプがふくらみに沿って柔らかいカーブになっています。

これが1日動いていると、もっとたるみやシワがはっきり表に出てきます。

 着崩れって、結局、「布が身体にきちんと沿っていない」ということです。

つまり、着物と身体(襦袢)の間に隙間があるから起きる、ということです。

だから「着物は襦袢(下着)が大事」=「襦袢をきちんと隙間なく身体に沿わせること」=「凹凸をなくすこと」ことが大事なのです。

 

でも身体は平面ではありません。骨格があり、人それぞれ、凹凸も違います。

補整はこの凹凸を埋める作業になります。凹凸を埋めることで、布と(補整した)身体の隙間がなくなるわけです。 

(普段着なら補整が)必要がない方もいます。人間の身体は必ず凹凸はありますが、例えば、私などはなかなかキビシイ事実ですが^^; 身体に“張り”があると、布が止まる、つまり動きにくいと言うことはあります。

私の場合、すでに“張り”が減少していて (^^; かつ、痩せぎすなので身体に布がとどまってくれないのです。

 

だから、補整をすると、たとえばタオルなどを巻くと、襦袢の布がその上に、さらにはきものも襦袢の上にきちんと“とどまる”ということです。

紐もタオルにきちんと食い込んで(と言うと、ちょっと語弊がありますが)おさまりがいいんですね。

 着付け学院ではどう教えているか、わかりませんが、これは私自身が何十年、また1週間で4〜6日着物を着ていての実感です。

 補整は必要がないなら、当然することもありませんが、

必要な補整はしたほうが、いろんなストレスから開放されますよ、と私的には考えるわけなのです。


      ※補整なし   

      



      ※補整あり

      

2013.06.01 Saturday 22:00comments(0)↑ページの先頭へ

着物で腰痛を緩和しました―その1

 背中がパンパンに張っていて、人生初の腰痛も経験中です。
きもので腰紐、帯などを締めていると楽になります。

今日はおうちきもの。
ワタシは基本、お出かけ着物で、お家きものではありません。
が、今日はおうちでも着物、です。
そういえば、昨日もFacebookで、洋服を着るとお腹が冷えてお腹を壊すというスレッドもありました。
また、この話題をFacebookでも上げたところ、
鍼灸師の友人からも、

鍼灸師的にも腰痛には着物が良いです。
正座の時に骨盤の上に脊椎がちゃんと乗ってるので
」とのコメント。

つまりは、横座りは良くないということですが、
帯をしめることで脊髄が固定されて、きちんと骨盤の上の正しい位置に乗るということ、のようです。

法的な規制があるので、「きものが腰痛に効く」なんて言えませんが(笑)
でも、コルセットの役目があることはよく理解出来ますし、
裾よけや腰紐は骨盤を固定し、矯正してくれます。

このことは、産婦人科医でマタニティヨーガの指導もしている先生がおっしゃっています。
だから、着物の時代は3人産んでも、5人産んでも、
骨盤が歪むという女性はいなかったというのです。なるほどー@@

着物の紐が自然に出産後の骨盤を矯正し、
また、帯が内蔵を包み込んで温めるという、
大きな効能をもたらしてくれていた、ということです。

昨今、着物で通勤できる人、つまり日中を着物で過ごせることができる人は多くないと思いますが、
でも帰ったら着物という人は、周囲ではなぜかきもの男子に多い。

 

波平さん生活を目指しているともいいますが(笑)、
オンオフの切り替えになり、しかも楽、と皆さんいいます。
男性は女性より着るのが簡単ということもあり、
「切り替え」になるのでしょうね。

今日のおうちきものは、三河木綿のみかん染め。
[
布花織りあそびアトリエ風花]さんにオーダーして織ってもらったターコイズの半幅帯。

おうちきものだけど、木綿と帯の彩度が違いすぎるのが気になるので、
小物で引き算コーディネートで、帯締めを選んでみました。
二部半紐に秋月洋子さんのれんの銀のポチッと帯留め。


追記:きもので腰痛を緩和するという内容について、後日の追記があります。

 



『月刊アレコレ』は書店では販売していません。定期購読はこちらから
バックナンバーはこちら

創刊号より、きくちいまの、書き下ろしイラストエッセイ「きものの引きだし」好評連載中。



       
        

2013.05.31 Friday 20:47comments(0)↑ページの先頭へ

「一枚紗」のハナシ

毎年、成人式や呉服の日はその年の傾向を見る意味もあって、

いろんな地域、お店に足を運んでみます。

今年は取材もあったのと、店主のお宝コレクションが見られてハナシが聞けるというので、東村山は久米川の、きもの楽庵さんまで行ってきました。

 

一言で言えば、店主の知識と、そのモノに対する愛情・愛着・こだわりにうなずけるお宝コレクションでした。眼福なり(笑)。最近、これだけの在庫を持っている店はそうそうないと思います。在庫があるというのは、借りているのではなく、買っているということ。

この「(問屋さんなどから)借りる」と、「買う」の違いは以前もちょっと拙ブログで触れたことがありますので割愛しますが、買うからには当然吟味をしなければならない。吟味するためには目利きにならなければならない。目利きになるためには、経験と研鑽を積まなければならないという図式が成立します。だって、資金を投入するのですからそりゃあ、本気になります。

 

で、本気入った店主の愛娘のようなお宝の数々をお披露目いただきました。

たくさんお宝はあったのですが、今日はその中でも、お宝というより、すご技の織物なのにあまり知られていないという、一枚紗の話をご紹介します。

 

京都に高垣織物という、小さな織元があります。

素晴らしく高い技術を持った織元で、近年廃業の危機もあったといいながら、

知る人ぞ知るその技術を惜しんで……というか、

そこでしか作れない織物がワンサとあるので、

周囲の止めないでコールに応えて現在も頑張っている織元さんです。

ブランド名は「菱屋六右ヱ門」。

 

さて、いろいろスゴイんですが(笑)、

今日の「スゴイ」は、一枚紗。

 

紗合わせって、ご存知ですよね。

盛夏用の薄物の紗を2枚重ねて仕立てて、下の柄が上の紗越しにほんのり幽玄な雰囲気で見える、かなり贅沢な着物で、厳密に言えば、単衣から盛夏に移るほんの一時期というのがセオリーです。

 

大概は下に明るめの色の柄物、上に濃い色の紗をかけることが多いようです。

また、昨今は紗合わせではなく、絽合わせがかなり多い。

つまり下に絽、上に紗を重ねる着物です。

総じて「紗合わせ」と呼ばれることが多いようです。

紗の動きでモアレが出る景色も一興(茶道の世界のようですがww)、という着物です。

 

私は持っていませんし、着たこともないので分からないのですが、

違う素材を2枚重ねて仕立てるので、ちょっと着崩れしやすいという弱点があるそうです。

 

で、本来、2枚を合わせて縫うはずのこの着物が、

1枚の布上(ぬのじょう)で完結してるってー、びっくりな織物が、一枚紗。

二重織りです。

上の紗は“浮いて”います。下の生地から離れているという意味です。

これは別々に織って1反にしたのではなく、同時に織って、コレです。


 



店主・児玉さんが手にしている反物の巻きの部分を見るとわかりますが、裏から見ると、ちょっと味気ない素材感で、とても透けるように見えないのですが、

表を見ると、くっきり向こうが透けて見える薄物です。

そして紗がかかっていてモアレもでます。

これって、すごくないですか?ここの織元しかできない技術だそうです。

同じような織りで、コート地の網かけ織りもあります。

コート地に網を同時にかけて織り上げます。

 

この一枚紗は通常の紗合わせより着る時季が長いそうですが、

紗合わせとしてもOKだし、1枚ものとして考えることもできる。

って、コウモリみたいですがww

そして着崩れしにくいということで、料亭の女将さんなどにファンが多いそうです。

料亭の女将、という時点で、「一般人は関係ないわ」みたいに思うかもしれませんが、

でもこういう織物があるって、知っておくのも悪くはないと思います。

バカ高い価格ではありませんでした。


余談ですが、先日、たまたま帯で紗合わせになっているものを見ました。でもそれは下の織地は夏物ではなかったと思います……。で、これっていつ使うのだろうと思っていたのですが、これも一枚紗、だったのかもしれません。あと5日早く聞いていれば……鑑定できたかもしれないのに(笑)。でも帯だと、帯留などの金具は使えないよねーと思ってしまうのですが……。

 

   



   

    

2013.05.30 Thursday 13:36comments(0)↑ページの先頭へ

今夏、浴衣(ゆかた)を選ぶなら。

 いまや、夏の定番となったゆかた。

そのゆかたをきものとして着るという提案も大分行き渡ったと思います。

実際『月刊アレコレ』でも、ゆかたをきもの風に着る提案には肯定的でした。

……でしたというと、過去形でいまは否定しているかのように聞こえますが、

そういうわけではありませんが、ちょっと細かな条件があって、ということです。

 

まず、「木綿100%」のゆかたをきもの風に着るなら、単衣の時季がオススメです。

ゆかた=夏=夏きもの という発想は、実際夏もきものを着ている身からすれば、ちょっと検証が必要かなあと思うのです。

 実際のハナシ、木綿100%のゆかたの下に(半)襦袢やら、衿やらをつけて着るのは、ほんとうに倒れそうなくらい暑い。特にたっぷり染料を含んで濃い色に染まった布は通気性が鈍い気がするのです。

夏は何を着ても暑いとは思いますが、それでも少しでも快適なほうがいいに決まっています。

だから、本当に夏でもきものを、気軽に着たいと思う人がいるのなら、

その暑い中でもより快適なきもの生活を楽しむためには、

盛夏に「木綿100%のゆかたをきもので着る」より、

 

「綿麻を選んでください」と、私は勧めます。

綿麻はいま大体のものは綿70%、麻30%が多いと思います。(実はこの7:3も、糸や織り方によって全然質が違ってくるのですが、こちらはまた話が複雑になるので、別な機会に)

30%でも麻が入っていると、ほんとうに涼しさが違います(と言ってももちろん冷えピタを貼るような涼しさとは違いますがw)。

そして洗える。この点は木綿も綿麻も同じです。

 

気に入りのゆかたできものとして着られそうな1枚があるなら、まず着て楽しんでほしいと思いますが、でも、これから購入する場合、

ゆかただけで着るのか。

きものとしても着たいのか。

そこを考えて選んでくださいね。

そしてきものとして着たいなら、やっぱり、うちわや大きな金魚の柄はやめておいたほうがいいと思いますww

 

綿麻で、柄を選べば『月刊アレコレ』が制作プロジェクトに参画している“5-9きもの”として、5月から9月まで着られるきものになります。

5-9きもの”はそういう、着る側としてのアレコレ的発想と、発信が元になって作られたきものです。

5-9きもの”を購入していただくのが1番うれしいけどww

でも根本は、そういう着る側の目線をかたちにしたということです。

ゆえに、ゆかた・きもの、両用で着たいなら、木綿100%ではなく、綿麻がお勧めですという結論。

 

あ、もう一つ重要なことを。

 

洗って着ることを前提にしているので、買ったお店ではそれが反物でお仕立てなら、必ず水通しをしてもらってください。そこで先に縮ませてしまうのです。

ちゃんとしたお店ならきちんとおしえてくれます。

 

プレタなら、ちゃんと縮率を聞いたほうがいいですね。

「んーー、そこまでは……縮まないとは……思いますがぁ」というお店ならちょっと考えたほうがいいです。

ついでだから言うと、“5-9きもの”って、その縮率も検証して、白生地から製作して、実際にメンバーが作って着て、洗って検証をしているんですよ。

そして、ゆかたをきものとしてではなく、あくまできもの。

でもゆかたとしても着られますよというアイテムです。


こんな考え方で『月刊アレコレ』を作っています。

書店では取り扱っておりません。ご購読はこちらから


 

2013.05.23 Thursday 19:34comments(0)↑ページの先頭へ

ゆかたを、どう着る? 伊勢丹のゆかた

 基本、普段着は何をどう着てもいいと思っています。
それは「きもの」を「着たい」人たちの、
「着たい」気ぶんが表れていると思うから。
そして、着る回数が増えることで、
「自分の着たいきもの」の本質もわかってくる、変わってくるとも思っています。

で、このゆかたは「ゆかたを着たい人」を対象としているようには見えない。

新しい層をきものの世界へ送り込んでくれる試みと見ればよいか。
洋服に、「ゆかたモチーフ」を取り込んでみた、とみればよいか。
新しいきものファッションのアジテーションとみればよいか。

awaiがリアル・クローズなら、こちらは ミセル(見せる)・クローズかな。w
ただ、自分はこういう着方はしないというだけで、
この着方や提案を否定しているわけではありません。
現在のきものだって、きっと当時は先端があり、先端が定着して、
いまに残っているものがあるのですから。

所詮、ファッションは自由な、着る人、作る人の表現。
良し悪しを論ずることはできません。

ひとつ言えるのは、着方の是非とは関係なく、この試みが伊勢丹だから意味があるんだろうなあということ。最近、きものをがんばっているデパート。
そういえば、去年も注染のオトコキモノをデザイナーたちがとんがった提案をしていたっけ。伊勢丹らしい鮮度はあると思います。

とりあえず、私的にはきものに靴ははかない主義だけどw
でも、それだって雪国で暮らせば分からない^^;

(画像はFASHION PRESSより拝借したアンリアレイジのゆかた。身八つ口から手を出しています)






2013.05.21 Tuesday 19:44comments(0)↑ページの先頭へ

浴衣(ゆかた)に足袋はあり?なし?

 
 

ゆかたと云えば、衿元すっきり素足で着るもの。そんなイメージがありますよね。

「ゆかたってぇ〜、足袋を履かなくていーんですかぁ〜」→ こういう質問をするお嬢さんには、「履かなくて大丈夫よぉ〜」と言いますww

しかし、
「某きもの雑誌で、有名スタイリストさんがゆかたで足袋を履いていたのよ〜、それってどうなの〜」という方には、
「ゆかたで足袋を着けるのは一般的ではないですが、間違いではありませんよ」と言います。

 

一般的―― と言いました。その一般は、夏祭りや花火大会などのイベントで、夏のコスチュームとして着る場合がほとんどで、そういう場合は素足に下駄が鉄板、かつ、ゆかた本来の夏らしさ、軽やかさが出るのと、実際、多くの方が素足で着るものだと思っているからです。

しかし、一般じゃない場合……と言っても特殊であるとか変わった着方ということではありません。
日舞をなさっている方や役者さん、そしてきものをよく知っている方や年配の方は、ゆかたに足袋を着けることもあります。(絶対、履くという事ではありません)

そして飲食関係の女将さんたちも「清潔」の観点と身だしなみとして足袋は着けます。

 

舞台関係の方は、分かりますよね。
また町内会などで行われる盆踊りの社中のおばさま方も、揃いのゆかたに足袋を着けて踊っているのって、よく見ませんか? 

足元をきれいに見せる、また、年をとると素足が見苦しくなるので足袋を着けるという説もあります。

要は、何をもって美しいと思うか、です。

さらに、ゆかただけではなく、小千谷縮程度の軽い夏のきものなら、半衿なしで帯締、帯揚、足袋というごく普通のきものの拵えで着ることもできるのですよ。

 




 

このブログのひとつ前に夏姿のお手本として、ステキなきもの女子3人様wwをアップしていますが、
再度キモノ*スイーツの初音先生をご紹介すると、
この時先生は藍の岡生地ゆかたに、紗献上の名古屋帯に帯締、白い足袋を着けていらっしゃいます。

堀口初音先生は人気着付け教室キモノ*スイーツのお家元w(先生ご自身はそういう言い方をしません。誤解なきようにw) 

今人気の着付け教室、鞠小路さんや、椿庵さん、きものシロップさんなど、皆、キモノ*スイーツの講師コースを卒業して独立なさった方たちです。つまりその先生の先生なのです!

そして山村流の舞踊家として舞台に立ち、着付けだけでなくお弟子さんに舞の稽古をつけるお師匠さんでもあるのです。

先週、先生とお目にかかった時にその話題も出て、「決めつけすぎている」ことが多いという話をしました。
その中のひとつが、“ゆかたに足袋”の話題。

「黒留袖には白の帯締、帯揚という決めつけも、ちゃいますよね〜」という話も。
こちらはまた後ほど。

 

ということで、「ゆかたに足袋は変!」「モノを知らない」と決め付けることのないように。
そして、夏にはじけるゆかたは、若々しい雰囲気と、また健康的な色っぽさが出るので、

素足が似合うということです。

因みにですね、『月刊アレコレ』は創刊8年目で85号を重ねていますが、
創刊2年目の20号(9月発行号)で上の画像のような、琉球風の柄の綿麻きものを半衿なしできものの拵えをして掲載しています。
もちろん、そういう着方もありですよという説明と提案も入れています。

こうして見ると『月刊アレコレ』って、普段着きものでゆる〜いけどww 基本はかなりしっかりした知識に裏付けられた提案、してるんですよね〜(いまさら自分で感心ww)

この号は6年前になります。某雑誌の「ゆかたに足袋」が話題になったのは昨年。
先をいってますってー(をい、言い過ぎw)

まじめで、意外に(笑)基本もしっかりしているけど、
ときたまお調子に乗る(笑)『月刊アレコレ』は書店では取り扱っていません。
定期購読のお申込みはこちらから

2012.08.03 Friday 17:39comments(1)↑ページの先頭へ

新之助上布の物語り。

新之助上布2

銀座松屋7階で、新之助上布展が開催されています。
新之助上布はここ2〜3年、その名をよく聞くようになりました。
近江の麻と綿麻に特化した着尺や小物を制作しています。

写真の通り、そのポップな色、モダンな明るさが特徴で、
従来の麻織物にはないラインナップがたくさん揃っています。

先ごろ話題になった目白ゆうどさんで開催された
インディーズ井戸端きものマーケットにも出品なさり、
そこでやっとそのTwitterでおなじみのスタッフさんとお目にかかりました。
 「次の東京展はうちの師匠が行きますので―」

その東京展が今回の銀座松屋です。

機で実演していた方が師匠の大西さんでした。2代目の機屋さんです。
大西さんが継ぐ頃には麻は・・・というかきものそのものがダメになってきており、
まして夏物の麻ではやっていけないと、絹物も作るようになり、
やがてアパレルの生地も手がけるようになったそうです。

しかし、名前を聞くと誰もが知る一流どころのアパレルブランドのやり方を見ていて
「いつかうちを撤退するだろう」と思ったそうです。
   それは「うちじゃなくてもよくなる」
――つまり同じようなものを他で安く作らせるようになるだろう予測を大西さんはしたわけです。
ノウハウや商品を真似る・・・・どこの業界でもあることなんですが・・・。

そして案の定、少しづつ、少しづつ。
そしてアパレルブランドが完全に撤退する前に大西さんは決断します。

今のままじゃだめだと、「新之助上布」というブランド名を商標登録して、
麻に特化した、それまで作っていたいたものとは違う商品を製作するようになりました。
もちろん、実績ができて商標登録したわけではありません。

  「これから」の勝負のゴングともいえる、新之助上布の商標登録です。
  それが6年前です。
 
  そのとき大西さん、58歳です。
  58歳で、それまで何十年もやってきたことを置き去りにして、
  大西さんは新しいスタートをその地点から切ったのです。素晴らしくないですか?

  でも、それはそうしなければならない状況にあったということでもあります。

その新之助の立ち上げと前後して、アパレルが大西さんのところから完全撤退。
いってみれば大西さんは新之助上布にかけたわけです。

新之助上布3

大西さんが現在のような着尺を作るきっかけになった出来事があります。
相変わらず売れない中で、それでも催事販売へ出向き、自分が作った商品を自分で売っていたら、

   80歳くらいのおばあちゃんが私をみてこう言ったんですわ
   「あんた、その年でまだそんなことをしてるの」と。

その意味、分かりますか?
つまり、普通ならそろそろリタイアして年金や蓄えなどで
悠々自適の人生を過ごしてもいいであろう年代で、自分で細々織ったものを、
催事販売に出かけて自分で売らなければならないなんて、
暗に「お気の毒に」という意味が込められている言葉です。

そのとき、大西さんは思ったそうです。

   「こんな人たちを相手にした商品を作っててもあかん」
   「この先、何枚も、何十年も着てくれるような年(人)やない」

そういう人たちを相手に長いこと商品作りをしてきたことにハッとしたといいます。
それは呉服業界にそのままあてはまっていたことでもあります。

実際、大西さんも、新之助上布を立ち上げたものの、2〜3年目は紺、黒、グレーといった地味な、無難な色ばかり織って、織れば織るほど在庫がたまる一方だったそうです。

新之助上布

ほんとうの意味で大西さんが大きく舵をとったのは、そのときだったのかもしれません。
気に入ってくれたらこれから何枚も、そして何十年も着てくれる30〜40代の人たちに目線をおいた現在の、明るい、ポップな雰囲気も取り入れたもの作りを始めたのです。

それが2〜3年前、ちょうど新之助上布という名前が人口に膾炙するようになった時期です。

  「やるか、やらんかです」
  「売れない売れないと、言いながらナンもせん人たちはそれまで」
  「うちはほんとうに、いつやめるか、すべてを無くすかという中で何十年もやってきてます」
  「私が40年近く続けてきたのは、いいときがなかったから、続けるしかなかったんです」

だから常に何かを考え、何かを仕掛けなければならなかったのだといいます。
40年近く前は15人いた職人さんや社員。
いまは1人で製作を続けている大西さん。

  「気が付かなければそれまで、行動におこさなければそれまでです」

大西さんの言葉にはそのひとつひとつに、厳しい現実のなかで何十年ももがき、迷いながら進み続けて人の実感が、ズンと心に落ちてきます。
そういう師匠のもとには、やはりスタッフが集まるものです。

多分、新之助は大西さんからバトンを受けるであろう素晴らしいスタッフもいて。

伝統技術が廃れていくとか、後継者がいないとか・・・・
確かに一社では個人では抗えないこともある。
でも大西さんをみていると、そこに何か行動を起さずに、
ため息だけをついて時に流されている人が多い気がする。
自分自身も含めて、時代に流されるなら、その流れる方向は定めて流れて行きたい、生きたいなあ。

昔、池田重子さんが「私はね、流されながら、流れたいところへ行き着く人なの」と
かろやかにほほほと笑っていらしたことを思い出した。
それって、柔軟に、でも意思を持って、生きるってことだよね。

■5月11日〜17日 銀座松屋 7F 和の座ステージ

『月刊アレコレ』は着る人が作る雑誌です。
書店では入手できません。こちらからポチッとどうぞ。

2011.05.13 Friday 02:34comments(3)↑ページの先頭へ

 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930    
<< April 2019 >>

CATEGORIES

RECENT COMMENT

PROFILE

OTHERS