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きもの情報誌『月刊アレコレ』編集長のきものと締め切りの日々。

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昔からある巻くだけの「巻き帯」考

月刊アレコレVol.165の特集、

「ほぼ結ばない帯結び」について投稿した記事の中で、

「巻き帯」について触れました。

 

最新号で紹介している帯結びは

背中がフラットなタイプが多いのです。

 

 

 

 

大阪の着付け師さんAyaAyaさん提案の、

「#帯結ばない帯結び」↓

 

お太鼓や羽根など、背中に装飾的な要素が

あるのが当たり前だったのに、フラット。

何もないということに、

抵抗がある方もいるかもしれません。

 

しかし、かつても背中がフラットな

巻くだけの結び方があったというお話を書きました。

 

えらい、長くなるので(笑)、

巻き帯については、こちらに別に投稿しました。

 

巻き帯は、昔、就寝前や、家の中で

楽に過ごすときに行われた結び方です。

つまり、本来、人前で見せる姿ではありませんが、

玄人筋の女性が巻き帯をすることがあったといいます。

 

樋口一葉の「たけくらべ」の冒頭に、

吉原界隈の町並み描写や風俗を書き連ねている箇所があります。

 

俗よそとりて、

女子(おなご)の後きちんとせし人少なく、

がらを好みて巾の卷

 

この辺りの風俗は他所と違っていて、

帯を後ろできちんとかたちに結んでいる人が少なく、

柄が目立つ帯をただぐるぐる巻いているということです。

端は挟み込むか、突っ込んだだけの処理です。

 

つまり、大方は郭者で、床に客をとるときに

手間がない結び方ということです。

 

 

また、近松門左衛門の浄瑠璃を原作とした映画

「女殺油地獄」(1992)のなかで、

夜半に與兵衛(堤真一)がお吉(樋口可南子)を

訪ねるシーンがあります。

 

そこからラストの佳境に入っていくのですが、

そのときのお吉は“ちゃんと”“巻き帯”でした。

お吉は玄人ではなく、油屋の内儀。

商家の奥さんですが、リアルな就寝前の

シチュエーションとして、

巻き帯の演出をしたのでしょうね。

 

 

 

 

ところで、映画、よくあるある、が、

きもの自体がその人を表す記号になっていること。

 

夜中に自室にいるときでも日中のシーンと同じ、

お太鼓を背負ったきもの姿だったりします。

夜中の12時にベッドに腰掛けて

昼と同じきもので読書というのは

不自然極まりないのですが、

着るものが日常を表すものではなく、

その人である“記号”として

固定されることはよくあります。

 

戻って、「女殺油地獄」では、就寝前だけれど、

まだ寝間着ではない夜の家の中で、巻き帯です。

 

衣装考証がきちんとなされていて

それが、私的には、

“ちゃんと”“巻き帯”ということになるのです。

 

前号、月刊アレコレVol.164の「映画コラム・銀幕座」で、

「女殺油地獄」を取り上げています。

自分でいうのもナンですが、

ファンが多い隠れた人気コラムです(笑)。

よかったらこちらもぜひ。

因みに編集人みやざがイラストも描いています。(≧▽≦)

↓こちらが、「女殺油地獄」で描いた樋口可南子のお吉です。

 

 

というのが巻き帯のお話になりますが……

 

月刊アレコレの「ほぼ結ばない帯結び」特集は、

こういう昔からあった帯結びだから、

いまも巻くだけの帯結びを復活させてもいいだろうとか、

提案しているというのとはちょっと違います。

結ぶシチュエーションが違いすぎますから。

 

ただ、ラクに結ぼうと思うと、結局、

巻くだけという発想になるのは、

今も昔も同じだということです。

 

しかし、いま提案しているのは、

巻くだけの帯ですが、

コンセプトや、実践するシーンが全く違う、

現代の新しい巻き帯だと考えています。

 

 

 

皆さんも、月刊アレコレVol.165 で、

トランプ結びや#帯結ばない帯結びを

試してみてください。

めっちゃラクチンで、

絶対きものを着る回数が増えると思います!

 

 

 

月刊アレコレは本屋では買えません。

購読は、送料無料の年間購読がおすすめです。

コンパクトな小冊子タイプの本ですが、

毎月、取材して、書き下ろし、撮り下ろしで、

旬なテーマを特集にお届けしています。

着る人が作る雑誌、それが月刊アレコレです。

2019.04.02 Tuesday 22:32comments(0)↑ページの先頭へ

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