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きもの情報誌『月刊アレコレ』編集長のきものと締め切りの日々。

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2018年、新年のご挨拶と、鶴の白生地の誂え染め

2018年、明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。

 

戌年。

ということで、誠にもって恐縮ですが、

編集人の愛犬に働いてもらい、

年賀写真撮りをしました。

 

12年に1度くらいは

働いてもらおうということです(笑)。

 

IMG_6748_bのコピー.jpg

 

ご挨拶に着たきものは、

昨年、デッドストックの白生地から

染めた洒落紋付きの無地です。

 

白生地から染める自分のきもの。

無地染めなら、そこまでハードルが高くなく、

自分だけの一枚を作ることができます。

 

参考までに、このきものについてちょっとお話しますね。

 

ちょっといいながら、長めです(笑)。

実はものすごい、あり得ないミスをしたきものなのです。(^_^;)

 

きものは、元は婚礼用の緞子の白生地。

先に説明の通り、デッドストックのものと遭遇しました。

いまはもうない、「聚楽」という会社の、

どっしりした、そして緞子ならではの、

しっとり、ヌメリとしたテクスチャーがあります。

 

地紋が、ウフフフの「鶴」!
鶴です。鶴。 

言葉だけで聞くと、鶴の地紋の白生地。

自分用に染めようとは思いませんよね(笑)。

実際、婚礼用であって、オバちゃんようではありません(笑)。

 

IMG_2264.JPG

 

でも、なんていうのでしょうか。

いまだから、いまだから、

この“鶴”のクラシックさが、

新鮮でおしゃれに感じるのです。

自分で言うのもナンですが(笑)。

 

しかし、自白すると(笑)、

これは怪我の功名というヤツです。

 

実は、手元にあったデッドストックの白生地は

地紋が2種類ありました。

孔雀と、鶴。

 

孔雀は鶴に比べるとかなり大きな柄になります。

前身頃にその孔雀が来るように仕立てたら、

カッコいいだろうなと、迷わず、

選んだのは、孔雀でした。

 

先には、いかにも偉そうに、

クラシックでおしゃれ、と言いましたが、

さすがに“婚礼の鶴”を

即、選ぼうとは思いませんでした、普通です(笑)。

 

そうなんです、ワタクシは

 

“鶴”ではなく、“孔雀”を選んだ!

 

…………………はずだったのに。

 

「では、この色でお願いしますー♪」と、

色を決めて、染め屋さんに白生地を手渡しました。

 

 

そして、仕立て上がってきました。

 

きものが入っている、たとう紙の白さ、真新しさ。いいですねー。

ほんと、この瞬間がワクワクしますよね。

開けて、ごたいめーん! したら、

 

は…………………????(最初、意味がわからず)

 

 

え? え!? え、え、えー!?(状況を分析)

 

 

はあああああああーーーっ!?!?!?(状況を把握)

 

頼んだ白生地、孔雀のつもりが………間違えて鶴を出していた…のです。orz

 

この後は早送りします(笑)。

 

が、びっくりしたのは最初だけで、

すぐに立ち直りました(笑)。

鶴が孔雀に勝利していたのです。ステキな出来だったのです。

ほんとうに。やせ我慢ではなく(笑)。

 

これが、まさに怪我の功名。

孔雀より柄が小さめに(といってもそれなりの大きさです)

入っていた鶴は、緞子の無地染めのなかで、

くっきり浮かんで、とてもとても、

ある意味、斬新とも言える、

エッジが効いた効果が出ていたのです。

 

しかも、細身で小柄はワタクシには、

これくらいの大きさの柄が結果オーライだったという、

正の(負じゃなく)副産物が重なり、

かなり自慢の一枚になったのでした。

 

 

そして、洒落紋は繍い紋。

「月刊アレコレ」のマークの“筆紋”。

筆紋は、載っている紋帳もありますが、

乗っていない紋帳も多い珍しい紋です。

 

8本の筆が放射状に並んだ、

一見、船の舵にも見えるかたちです。

 

IMG_2461.JPG

 

 

筆ということで、=ペン。

紙媒体、編集、メディアのシンボルです。

 

そして、舵にみえるかたちは、

きものの未来へ漕ぎ出す意、

その未来への指針となる意、

が、込められています。

 

 

ちょっと説明が前後しますが、

この無地はKICCA(きものカラーコーディネーター協会)の

周年パーティで着るために誂えたものです。

ワタクシはKICCAの代表理事の能口先生とともに

理事を努めています。

 

なので、セミフォーマル風味を出しつつ、

パーティに合わせて「色」にこだわり、

ありきたりではなく、おしゃれだなと

思える仕上がりにしたかったのです。

 

そのためのポイントが、

  • 洒落紋
  • そして、袂を長めにすることです。

 

きものがまだ普段着で生活着だった戦前までは、

普段着だからこそ、お出かけ着との差を付けていました。

昔の言い方をすると「よそいき」ですね。

 

それぞれの暮らしのレベルなりですが、

絹物、柔らかもの、上質な生地など、素材の違いと、

もう一つは、裄や袂がやや長めというものでした。

袖丈は好みや身長で多少の違いがありますが、

襦袢もよそいき用に合わせて用意しています。

 

しかし、きものを着ることが少なくなった現代では

1枚の襦袢ですべてのきものに合わせられるように、

袖丈を同じにするようになっています。

 

いま標準となっている1尺3寸(約49cm)は

普段着に合わせるというより、よそ行きに合わせての袖丈です。

 

たまに、おばあちゃまの箪笥に入っている、

普段着的な織物(紬や木綿やウール)で、

袂が短か目のもの、ありますよね。

身長の違いもありますが、

普段着だからという理由が大きいと思います。

 

いまは襦袢まで用意することは少なく、

1枚の襦袢で、すべてのきものにあわせられるように、

袂を同じ長さに揃えるようになりました。

 

最近はよそいきというより、背の高いかたが多いので、

バランスがいいように、1尺3寸より長めの袂を

勧められることがあると思います。

 

私も袖丈はすべて1尺3寸です。

小柄なのでもう少し短くてもいいのですが、

襦袢が不便なので揃えています。

 

その代わり、普段着は袖の丸みを大きめにしています。

なぜか? 

袖の丸みに関しては、別の機会にお話したいと思いますが、

この丸みにまた意味があるんです。(^^)

 

 

話を写真のきものの、「袖丈長め」に戻しますと、

フォーマル感というより、ちょっとおめかし感を割増にしたかったので、

袖丈を1尺5寸(約56.7cm)にしました。

 

しかし、問題が。

 

そうです。襦袢です。

そこで、今回はきものに合わせて、八掛けと

 “うそつき袖” を一緒に袖も染めてもらい、

直接きものに取り付けてもらいました。

 

白生地がたっぷりの四丈(よじょう)ものだったので、

八掛けを染めて、かつ長め袖も足りました。

(※四丈(よじょう)もの=共八掛けが取れる要尺。現在は四丈ものとはいっても四丈以上長さがあるものが多い)

 

襦袢は筒袖の半襦袢を着用、下は柄物の裾よけです。

 

アンテイークが好きなかたは、襦袢の袖丈に悩むと思います。

器用なかたなら、ご自分で取り付けることもできそうです。

ワタクシはできませんので、プロに頼みますけど(笑)。

 

こうして、唯一無二の、自分の無地が完成したのです。

 

ところで、袂の長さに年代は関係ないの?

という疑問があるかと思います。

 

長い袂は未婚者の印で、

既婚者は「袖を振る」ことをやめるために、袖を留める。

と言われています。

「揺れる袂」は女心の象徴として捉えられているからです。

袂には魂が入っているんですね。

 

しかし、ここ5〜6年は、大人の振袖を楽しむ人も結構います。

正式な席ではなく、おしゃれや楽しみとして着る振袖です。

着るものがファッションと考えたら、全然問題ないと思っています。

似合うかに合わないかというのは別として(笑)。

袂の長さだけでなく、色柄の問題もありますからね。

 

ワタクシとしては、自分にまあまあいい「長さ」の限界を(笑)、

1尺5寸としたというわけです。

 

最後に。

白生地のデッドストックは掘り出し物があります。

いまでは織れない昭和のいい生地があるからです。

今回の緞子の生地も、ほんとうにしっかりしたいい生地でした。

 

シミやカビが出ていなければ、そして濃いめの色に染めるなら、

そのまま使えることが多いです。

 

薄い色だと、絹特有の黄ばみが出ていると、色に影響がでますから、

お店のかたと相談してください。

 

デメリットは、古いものは反幅が狭いこと。

まあまあ、8割方は大丈夫だと思いますが、

165cm以上のかただと、こちらも相談してくださいね。

 

本日も、新年のごあいさつと言いながら、

長々とした白生地の話になりました。

改めまして、本年もよろしくお願いします。

こんな編集人が作っている月刊アレコレは

書店では売っていません。

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創刊13年目になる月刊アレコレのスローガンは

「袂に知恵と工夫、自分サイズのきものをたのしもう」

着る人が作る雑誌です。

2018.01.02 Tuesday 16:56comments(0)↑ページの先頭へ

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