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きもの情報誌『月刊アレコレ』編集長のきものと締め切りの日々。

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NHK朝イチ着物特集「訪問着は入卒にNG」についての考察

数日前の「NHK朝イチ」の着物特集、
 
ご覧になったかたも多いと思います。
 
そのなかで、「訪問着は入学式など、
 
学校行事にはふさわしくない」という説明をしていました。
 
その説明に対して、ネット上では多くの見解が繰り広げられました。
 
 
 
ご覧にならなかったかたのために、もう少し説明しますと―
 
主旨は「着物美人になろう」という、
 
着物を愛する人間にとってはとてもうれしく、
 
ありがたいテーマを全国ネットのNHK取り上げてくれたわけです。
 
 
 
まず、カジュアル着物の楽しみ方として、
 
小誌「月刊アレコレ」でもイラストエッセイを連載している、
 
きくちいまさんがコーディネートの手ほどきなどをして、
 
「普段着物は何をどう合わせても自由です」
 
ということをお話していました。
 
 
 
 
その後、スタジオで「きもののレジェンド」として紹介された先生が、
 
着物のルール的なことを説明しました。
 
4体のトルソーに、訪問着、無地、小紋、紬を着せて、
 
それぞれの説明をしていました。
 
まずは、どんなときに着るの?(着ていいの? NGなの?)というところから。
 
 
 
最初に訪問着に対しての説明。
 
クイズ形式の流れのなかで、スタジオのアナウンサーが答えて
 
「訪問着は華やかな席にふさわしいけれど、
 
入学式や卒業式などは子どもが主役なので、
 
お母さんは少し控えめのほうがいいのでは?(だから訪問着はNG)」
 
(正確ではないかもしれませんが、概ねの内容をまとめるとこんな内容でした)
 
 
それに対しての先生の回答は「その通り(正解)です」。
 
学校は教育の場、主役はあくまで子どもたち。
 
なので、そこであまり派手(華やか)な訪問着は場にそぐわない、
 
というような内容を、やわらかい口調で回答なさっていました。
 
 
ではどんな着物がふさわしいのか? となり、
 
 
隣に並んでいた「無地」を指南。
 
無地はとても便利な着物で、入卒やお茶席でも大丈夫と、
 
「1枚目の着物は無地をおすすめします」とおっしゃった。

また「洋服で言えば紬はデニム」という説明もあり、

そこにひっかかったという人もいました。




 

 
 
………私がいうのもナンですが、それはそういう考えとして、いいと思います。
 
私的には“そういう意見もありますね”という捉え方です。
 
で、私の意見は、訪問着OKだと思っています。
 
 
じゃあ、訪問着がNGなら入卒は何を着るの??ということになりますが、
 
それに対しての指南が「無地」だけでは、現状にそぐわないかなぁと。
 
 
では現状とは、どういう状況なんですか? ということですが、
 
むしろ、入卒は訪問着が圧倒的に多いと思います。
 
なぜなら、
 
・いまの人は手持ちの晴れ着は訪問着が多い。
 
(昔のように嫁入り道具として、留袖・訪問着・無地・小紋・紬と
 
一通り揃えるところは少なくなり、晴れ着に絞ると無地より
 
訪問着や付下げを持たせる傾向にあります。
 
また、リサイクルショップで購入する、一枚もっておきたいと思う晴れ着も、
 
無地ではなく訪問着・付下げ選択になることが多い)
 
 
・着物で式に出ようと思う人は、着物に関心が高まっている人が多いので、
 
着る楽しみを考えると訪問着選択になる。
 
(無地が楽しくないと言うわけではありませんが、
 
女性の感性としては訪問着のほうが晴(ハレ)の気分が上がると思います。
 
そういう意味では、確かに子ども中心の考え方ではないかもしれませんが、
 
“着物で列席してあげたい”という発想自体で十分ではないかと思います。ワタシはね)
 
・子どもの入卒に出る母親の多くは年代的に30〜40代。
 
(派手なものを着ようというより、あまり地味にならないようにという発想がはたらく)
 

 
上記は統計があるわけではありませんが、
 
コンパクトサイズながら、11年間、毎月、着る人の現場を取材したり、
 
着る人たちが集まるイベントへ足を運んだりして聞く声や傾向は、
 
間違いなくその方向にあると感じています。



下記は月刊アレコレの読者にコーディネート一式を紹介してもらい、

そのアレンジをスタイリストさんにお願いして着回しを提案するコーナー、

「読者の和ードローブ」で去年の3月に紹介した読者のコーデです。



季節もあり、入学式の着物を紹介しました。

着物が大好きなお母さんで、いつも個性的な普段着物を着ることが多いとのことで、

人生初訪問着は子どものため、リサイクルショップで購入したそうです。

これって、“現状”です。





 
 
番組として、ほんとうの初心者、

もしくはこれから着物を着てみたいという人に向けての
解説を、
 
短い時間のなかで、迷わないように、

わかりやすく伝えた結果だったかもしれません……。

 
 

 
今回この話題を取り上げたのは、別に番組を非難しようとか、
 
訪問着NG発言を否定しようとかいうことではありません。
 
この番組を観て「着物を着たくなった」「きものを久しぶりに着た」と
 
いう人もいましたから、取り上げてもらう意義は大いにあったと思います。
 
 

しかし、この番組を見て入卒の春を前に、それで大いに迷う着物ファンが
 
周囲にいたのも事実です。
 
 
 
なので、私のような、こういう考え方をする人間もいる、
 
こういう捉え方もある、という別な振り幅も知ってほしかったので、
 
このブログを書きました。
 
 
 
考え方・伝え方も人それぞれですから、何が悪いということではありませんが、
 
時代感は変わるので、そういう意見もあるけど、私はこう思う。
 
もしくは、最近はこういう傾向にあるということも伝えなければ、と思っています。
 
NHKで紹介する「ルール」は、「絶対」のルールとして受け止められると思うので、
 
焦点の絞り方、振り幅をどのあたりまでとするか、難しいところだと思います。
 
 
 
ここ何十年来のルール(と思われてきた習慣)を軸に、
 
左右の振り幅を示して、自分の考え方はそこからやや左よりであるとか、
 
右よりのこの辺りだというように説明してあげれば、全体像が見えます。
 
そこで、自分なりの判断がしやすくなるのではないでしょうかーと、
 
思うのです。
 
そのためには自分の情報が、常に更新されていなければと思います。
 
 
 
関連してーーすみません、また長くなりますが(^_^;)

「いまは留袖は、夏でも袷でOK
なのよ」と

 
教える着付け講師のかたがいます。
 
昔と違って、絽の留袖まで持っている人が少なく、
 
また、レンタルするにしても、新郎新婦の親が袷なのに
 
参列者が絽を着て出席するというのも気が引ける……等々。
 
またホテルは空調が効いているから袷でも大丈夫…等々
 
そういう事情で“やむなく”袷でも…という流れにはなってきています。
 
これがずっと続くと、確かに絽の留袖を着る人がいなくなり、
 
作っても売れない。50年後100年後くらいには留袖は商品的に袷だけになり、
 
ひとつの故実として定着する可能性もないとは言い切れません。
 
昔は留袖も絽を着ていたときがあったらしいよ、みたいな(苦笑)。
 
 
にしても、です。いまでも、絽を着る人は着ているので、
 
そこは教える立場として単焦点ではなく、
 
広く焦点を合わせてほしいなと思います。
 
 
かつてのように親が教えられる時代ではありません。
 
育つ過程で自然に見て覚えるという環境でもありません。
 
 
着る人と直接対面する着付けの先生や、呉服屋さん、販売をする人が
 
いまは “伝える”人だと思っています。
 
 
なんか、すごい偉そうなこと言っているみたいになりましたが(^_^;)
 
これは先の訪問着NGとは別件での、
 
常々私が感じていること、考えていることです。
 
今日も長々となりすみません。
 
 
ここまで読んで下さってありがとうございます。m(__)m



こんな編集人がつくる「月刊アレコレ」は

書店では売っていませんので、定期購読を大いにおすすめします(笑)。

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2016.01.09 Saturday 14:42comments(0)↑ページの先頭へ

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