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きもの情報誌『月刊アレコレ』編集長のきものと締め切りの日々。

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『昔のきものに教えられたこと』(石川あき著)が教えてくれたこと

月刊アレコレ編集人みやざです。

 

今日は、きものに着目したオススメの本と

映画のお話をちょっと……

といいながら、いつもながらちょっとではありません(笑)。

きものや本の話って、ほんとに伝えたいことが

ありすぎます(^_^;) あ、映画もです。

 

「十二国記」3巻4巻出ましたね。

読み始めたいけど、堪えます。

もう少し仕事、進めてからじゃないと(苦笑)。

 

1巻は完全集中して4時間強で読破。

小説はストーリーがあるので読みやすいから

どうしても続きを追ってしまいます(^^;)

仕事が詰まっているときは超危険です。

 

 

 

 

活字中毒な編集人なので、

食事には必ず本を持って出るのですが、

昼食のお供はこれ(笑)

 

 

 

 

大正〜戦前の良き時代のお嬢様着物事情がわかる、

石川あきさんの随筆。『昔のきものに教えられたこと』

 

結構繰り返し読んでいるかもしれません。

『細雪』などに代表されるお嬢様きもの文化は人気ですが、

これは小説ではなく、リアルな生い立ちの中での、

生まれ育った時からのきもの事情。

とても参考になります。

 

ところで今月号の月刊アレコレ、邦画紹介「銀幕座」。

山崎豊子原作、市川雷蔵の「ぼんち」。

 

 

画像は今号「銀幕座」のイラストから。

ちょっとすねた市川雷蔵ボン(笑)。

 

市川雷蔵というと眠狂四郎ですが、

この真逆とも言える関西系ボンキャラ。

梨園の育ちの良さが生きています。

なにより、眠狂四郎の着流しのかっこよさのみならず、

リアルな男性きものが、まあ、自然です。

仕草、所作、歩き方。これだけでも観る楽しみがあります。

 

 

 

船場の足袋問屋のボンの話ですが、

とにかく、当時の船場の商家の

ビックリするカルチャーが興味深い。

 

例えば、毎月1日と15日は、下着から表着まで、

すべて新しいものを身につける慣習があるので、

ボンは突っ立ったまま、女中に

真新しい褌からつけてもらって、

下ろし立ての長着、帯、羽織を着せてもらいます。

 

パンツ(褌)くらい自分でつけようよって

思わず突っ込みたくなります(笑)。

 

また、お妾が「今度からお世話になります」と、

正式に(笑)本家に挨拶に来ます。

それも、まだ本妻がいないのに(苦笑)。

本妻は身重にもかかわらず、

母と祖母にいびられ実家に帰され(!)

結局、離婚となります。

でも生まれた子供は引き取る。鬼です(^_^;)

 

お妾が座敷に通されてからの

座布団の扱い、座り方、挨拶、

土産の受け取り方にも型があり、

突き刺すような目線でそれをみているボンの母親と、

家を取り仕切るゴットマザー的祖母。

 

最後に「(挨拶は)ようできはりました」と

ニコリともせずいいます。コワッ(笑)。テストか^^;

ここも私的には、ひとつみどころです。

 

とまあ、こんなのを観ていると、

「男の甲斐性」なる言葉が、別な角度から、

なるほどと、妙に納得します。

しょうもない男が浮気がばれて

アタフタと言い訳したり、

開き直るときの言葉とは別物です。

こんなに安っぽいものではない。

 

女のすべてを面倒見る、不自由させない、

肩身の狭い思いもさせない、

育ちの良さ特有のちょっと子供っぽい

頼りなさげなところもあるけれど

文句なく優しい。男前。

 

子供が生まれればもちろん子供まで大事にする。

いったら、大奥や海外の王室の側室ですね。

 

側室は正式な妻の一人で位も高い。

殿が政に専念できるように支えて、

子孫を増やすという役割。

 

ほんのちょっと前の日本でもこういう文化が残っていたのだと、

お妾の現代的視点での良し悪しは

おいておいて、おもしろいです。

 

ところで、ボンではなく、お嬢の石川あきさんの

本の中でのエピソード。

 

嫁いでから、母親に、

「戦前に作ったきものはもう着られまへん」

30才も過ぎたことだし

「そろそろ新しい留袖をつくったらどうですか」と、言われたそうです。

急いでつくるといいものにならないからと。

 

そして、石川あきさん、

好きな六代目菊五郎の鏡獅子を図案から起こし、

何度も顔が六代目と違うと直させ、

獅子の毛、白に金の袴、白い足袋と、

ほとんどを刺繍で仕上げ、

獅子の毛の先は後ろ身頃まで踊っていたそうです。

すそ回しは金の箔の霞取り。

 

それに合わせた帯は金通しの丸帯で織ってもらい、

そこに金銀ほか、何色もの糸を使った菊の花弁を

刺繍してもらったと言います(ため息w)

 

その請求書を関西の実家に送ったところ、

母親がそれをみて

 

「あんた、言いますけどな。贅沢もほどほどですえ」

 

と言われたといいます。

いい加減にしなさい!とかではなく、

「ほどほど」ですえ〜(笑)。

しびれる(笑)。

 

一体、いくらだったのでしょう?

 

今なら500〜600万円?  

丸帯まで織っているから800万円くらい?

胸のすく、絵に描いたような

お嬢様らしいエピソードで好きです(笑)。

これは映画でも小説でもなく、実際の話です。

 

この石川あきさんの本の中での好きな一文があります。

 

呉服屋さんが20日に1度位、家に訪れて

反物を広げるような裕福な家庭で育ち、

良いものをたくさん見てきた石川あきさんですが、

その彼女をして

 

「きもののおしゃれは高価なものを

身につけることではありません。

ひとえにやりくりと工夫です」といいます。

 

確かに少しの手間と費用はかかりますが、

 

「誰が着てもいいきもの」ではなく

「誰でもないあなただけのきもの」を着たほうがいいと。

 

 

ここ、大事です。

誰が着てもいいきもの――確かになあ…と思います。

 

よくみやざがいうのは、リサイクルのきものを

洗い張りして仕立て直したとします。

 

しつけがかかってタトウ紙にくるまれているきものは、

言ってみれば、養子から実子になったような、

そんな気持ちになります。

(養子だからぞんざいにするのかとか、

そういうことではないので、

比喩として理解してくださいね(^_^;))

 

洗い張りして、染め替え、仕立直しなどをしたものは、

やはり「自分のきもの」になったと思います。

 

編集人が染め替えたきものの中に、

20代のときに作った紬があります。

 

 

ちょっと古い写真で画質が悪いのですが、

もとがこういう色の紬でした。

20代ではコレくらい地味でもあまり気にならないのですが、

年代が上がるとコレが悪い意味で合いすぎて(笑)、

顔映りが悪くなりました。

 

 

 

 

洗い張りし、上から色をかけてもらいました。

地色の影響が必ず出るので、

もとの色より明るい色にはなりません。

(もしそうしたかったら色を抜く

抜染という工程をしなければなりません)

 

この紬は黄土色の上に焦げ茶をかけてもらいました。

 

うっすら、もとの格子が残っているのが

また気に入っています。

 

 

 

 

その色に合わせて八掛けもこれという色がなくて

別注をして仕立て直したものです。

 

 

まさに、石川あきさんのいう、

「誰が着てもいいきもの」ではなく

「誰でもないあなただけのきもの」になったと思います。

 

 

 

2019.11.15 Friday 20:24|-|↑ページの先頭へ

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