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きもの情報誌『月刊アレコレ』編集長のきものと締め切りの日々。

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着物の国の(一部)黒歴史は着物の歴史じゃない

こんな記事が文春オンラインに掲載されていました。

 

記事を書いたライターさんは、昨年秋に

『着物の国のはてな』(集英社)という本を出している方で、

『月刊アレコレ』の今月の1冊でも取り上げています。

お話が聞きたいと昨年の出版記念トークに

友人と申し込んだけど、定員で諦めた経緯があります

 

自身の体験談が元の本で、きもの初心者からみた

きものの不思議を(問題点等も)とりあげています。

 

きものがお好きだと思いますが、

「きものラバー」というよりは、

ライターとしての視点が勝っている内容かなと思います。

 

関係者にとってはもう少し諸々、愛をもって(笑)

理解してほしいと思える箇所もあると思いますが、

現在のきものの理解、またきものの世界は

こんな風に見えているということで、参考になります。

 

ところで、その文春オンラインの記事に戻ると

「通いたい着付け教室NO1」(根拠となるデータは不明ですが)と

自画自賛する着付け教室問題が

ネットで浮上したのが18年くらい前でしょうか。

 

きものブロガーの走りといえる方が発信し始め、

自身も体験したその問題点を逐一挙げ……というか、

暴露といってもいい内容をネットに晒したのです。

 

海外からの発信もありました。

アメリカに教室をオープンしたときに、

無料とうたいながら日本の歴史を学ぶ女子大生や、

一部の人々にはレイシズムを感じさせる断り方をしているとか。

つまり対象にしているのは時間とお金のある

海外駐在員の妻や家族だということでした。

要は現地人は対象でない無料着付け教室ですね。

(これはあくまでその方の、そのときのブログ内容ですが)

 

その後その手のクレーム発信が噴出するようになりました。

細部や詳細はともかく、どれもが実体験としてなので、

核となる問題部分は事実といえるでしょう。

 

一応、伝えておくと、なかには

「いい先生にあたって良かった」という方もいました。

これは本人から聞いた言葉です。

その方がいうには、担当する先生によること、

本気できものを勉強しようと思うとためになるとのこと。

(主催者側としてはそこが趣旨ではないと思いますが 苦笑)

また、受講者自身が強い意志を持って断れるか否か、

ということでした。

 

 

ある程度の情報が行き渡ってからは、それを承知で、

自分は流されないと言う意思をもって

通う人もいたことは事実です。

 

ただ、一般的な、きものに無知な初心者が

学ぼうとして行った先で、師弟関係を前提として

セミナーという名の販売会に臨み、“プロ”に囲まれたら、

そりゃあ、なかなかの、

抜け出せない“ピンチ”でしょと思います。

 

わたしはこのとき、何が問題かって、

せっかく興味を持ち、行動まで起こした人たちが

皆、「もうきものには関わりたくない」

「呉服屋さんが怖い」「きものには嫌な思い出しかない」と、

一転、きもの嫌いになってしまう状況が

ほんと、悔しくて悔しくてたまりませんでした。

 

着付け教室なのに販売の問題点により

「呉服屋さん」として置き換えられているのも…。

 

これが「怖くない呉服屋さん」を名乗るブームに

つながったと見ています。

 

さらに呆れたことは(もう止まらない……加速)

そこが発行した情報誌の創刊号の(いまはないようですが)

裏表紙の自社のメンズきもの広告は、イケオジブームに乗った

某外国人モデルを起用し、周囲に女性が3人いる絵面の写真でした。

その3人の立場は、「正妻」「恋人的な秘書(確か)」「愛人」!

3人の女性は、3人の女性は、イケオジモデルを囲んで、

そういう“役割”の雰囲気をきもので演出していたのです。

3人のモデルは教室の講師だと紹介していました……

 

ほんっと、ありえない……

広告としてのコンプライアンスはないのか?? 

すみません、はっきり言ってディスっています。

 

ここまでディスって何が言いたいかといえば、

悪事千里を走る それも時を超えて、です。

そこの教室にかぎりませんし、もっと言えば、

それぞれの業界でも問題点はあると思います。

 

でも私達(≒ きもの好きや、職人・物販等で

たまたま仕事として就いたとしても、

きものを肯定的に捉えて多くの人に着てほしいと願う人々)、

きものが生活の一部にある人間としては、

自分たちが知っている、感じているきものの良さも

伝わってほしいと思うわけです。

 

誤解のないように言うと、こんな記事が出ることで、

「きもののイメージがマイナスになる

と言っているのではありません。

 

ライターさんもきものを貶めようとして

書いているのではないはずです。

 

自分のような初心者が知っておいたら有益な情報として

排除すべき問題点を挙げることで、

快適なきもの生活につながることを

念頭に置いていると思います。

 

私としては、そんな情報を駆逐するほどに、

「きものって、いいじゃん」「カッコいいよね」と、

伝わるような発信や、見た人が着てみたいと思うきもの姿が、

リアルに街なかで、雑誌で、本で、(正しいw)広告で、

視界に入るような環境になればいいなと思います。

(コロナ禍という現状はおいておいて)

 

悪事千里を走る 時を超えて を超える情報量・発信量で。

 

でも悔しいけど、松田聖子を使える資金力により、

きものを発信しているという点では、

なんだかんだ、こうして話題に挙がっているのよね、

複雑だけど f(^_^;)

 

ちょっと今回は、込み入ったおハナシになりました。

仕事柄、そして新卒から広告業界(いまは編集も)

それもきものに特化した仕事に携わっているので、

正直、きものに関する知識や、流通、製造現場、

一般のきものファンの思考やその変化など、

きもの全般の客観的・専門的な知識や情報は

蔵が建つくらい(笑)あると自負しています。

そのなかから、ある特定に加担せず、

純粋なきものファンにとって有益な情報を

お届けしているつもりです。

 

複雑な問題点に切り込むのは

私の本来の仕事ではないので(ルポライター的な)

あまりすることがありません。

が、一方で、ときに、いいかげんしろーーーっって、

思うことも、まあ、あります。(苦笑

 

ありますが、結局のところ、私が業界に対して、

一企業に対して与える影響なんて、ゼロに等しい。

 

ただ、有益な情報のほかに、たまに、

「きものの森」のなかで、あそこはキケンエリアとか、

魔の樹海につながる道とか(例えww)

立て札を立てておいたほうがいいなと

思うことはあります(笑)。

 

しかしネットが発達したいま、

ユーザーも十分、そのあたりは把握している方、

多くなったと感じています。

 

いろんな記事や情報があるけど、

皆さん、きものを嫌いにならないでね(笑)。

 

 

きものの国の(一部)黒歴史は企業の黒歴史であって、

きものの歴史じゃないのだから。

 

2021.02.08 Monday 17:32|-|↑ページの先頭へ

「洋服のように着物を着る」の中身と意味を考える。

とあるブログを読んで思ったこと。

きものを「洋服と同じように、もっと気軽に着たい」

ということではあるのですが、

この、「気軽」についてちょっと考えました。

 

私が「洋服と同じようにきものを」というのは、

洋服のジャンルの中にきものを

インクルーズさせるという意味ではなく、

違うジャンルで着るものとして

並列させる、ということです。

 

「洋服に近い感覚」という言い方はしますし、

いまや完全に定着・確立している

「綿麻きもの」というジャンルは

私こと、月刊アレコレ編集人が提案したのものが、

59キモノや他ブランドでの製作につながっています。

それは、洋服に近いデイリー感覚の

きものがほしかったから。

 

 

しかし、それでも、それでもです。

誤解を恐れずにいうとーー、

靴を合わせようが、セーターをインしようが、

綿麻だろうが化繊だろうが、

きものは洋服とは違うと考えます。

 

例えば、靴。

機能性第一と考えます。

が、履きやすさや丈夫さとは別な、

フォルムの美しさや独自性を追求する靴もあります。

 

アスリートが履くシューズと、

パーティドレスに合わせる靴は、

靴で有りながらジャンルが違うということです。

 

こちらは、靴のメーカー、ユナイテッドヌードが発表した新モデル。

もう見た目、靴ではありません。

靴という概念をすごい飛距離で

遠くへぶっ飛ばしています(笑)。

これがスポーツシューズと同じジャンルとは、

考えないと思います。

(ユナイテッドヌード自体は

スポーティなタイプも製作しています)

 

 

ファションサイトisutaより

 

そういいながら、ファッションに寄ってくる

スポーツシューズもあります。

それはメーカー自体のブランド性が高いことや、

機能性の一部をファッション性に変えていることもあります。

最たるブランドがNIKE

ハイブランドがスポーティアイテムを製作する

逆パターンもあります。

 

ある意味、綿麻きものや、

洗濯機にポイッとできる化繊きもの、

洋ミックススタイルは、

そんな中間の立ち位置かもしれません。

 

……というと、

「そもそも、洋服だとかきものだとか、そんなの関係ない」

「分ける考え方が古くさい」

「着たいものを好きに合わせているだけ」

という人もいると思います。

 

もちろん、そういう考え方もあるでしょうし、

まったく否定はしません。

 

同様に、私は「洋服」と「きもの」は、

別物というより、同じものでないと

考えて着ているだけなので。

 

なぜなら、私はシンプルに「きもの」をたのしみたいから。

「たのしむきもの」を提案したいからです。

「洋服」をたのしむときは、洋服の楽しみ方を取り入れます。

 

考え方の違いと言えば、

ほんとにそれだけのことなのですが

「洋服のようにきものを」という、

その中身が、人によって違うこと。

そして、月刊アレコレの基本は、

きものと洋服は同じではないと考えることを

お伝えしたかったのです。

 

「ワードローブとして気軽に」

「洋服のような感覚で着る」

「洋服を選ぶようにきものを選ぶ」

「(洋服のように)かんたんにラクに着る」

 

という言い方を編集人もよくします。

しかし、それは洋服に同化させる

ということではありません。

 

洗えるものが欲しいとか、

安価なものが欲しいとかいいますが、

伝統的な、きものらしいきものはまた別腹で(笑)、

大好きだし、残ってほしいし、存在すべきだと思います。

 

 

 

まるで、子供が駄々をこねて

「おばあちゃん家の子供になりたいー」と言ったあとに

「ううん、でもやっぱりパパやママがいる

このお家がいちばん好きー(泣)」

 

……みたいな(笑)展開になっていますけど。

はい、おばあちゃん家も、このお家も、大好きな子供です。

(どういうオチ?(笑)

 

ところで、NIKEの話題を出しました。

アパレルジャンルになりますが、

NIKEのブランド価値は6年続けてトップです。

 

英国のブランドファイナンスが、

アパレル企のブランド力を数化したランキング

「ブランドファイナンス Apparel 50 2020」での発表です

 

1位 ナイキ(1位/←)347億9,200万ドル
2位 グッチ(5位/↑)176億3,000万ドル
3位 アディダス(3位/←)164億8,100万ドル
4位 ルイ・ヴィトン(7位/↑)164億7,900万ドル
5位 カルティエ(6位/↑)150億1,500万ドル
6位 ザラ(2位/↓)145億8,200万ドル
7位 H&M(4位/↓)138億6,000万ドル
8位 シャネル(初)137億500万ドル
9位 ユニクロ(8位/↓)128億7,800万ドル
10位 エルメス(9位/↓)119億900万ドル

 

スポーツイメージのブランドでありながら、

VUITTONHERMESなど、すべての「ブランド」と

対峙しても圧倒的な価値を誇っています。

因みにユニクロは9位。

 

さて、きもののNIKEは、現れるのだろうか。

 

しかし、結局のところ、

NIKEのシューズと、ジミーチュウや銀座かねまつなど

つまり、スポーツシューズとパンプス。

多くの人は、両方持っていると思います。

 

今回、大事なところは、ここ。

「タイプが別だから、両方」です。

 

 

月刊アレコレはそんな考え方をするコンパクトなきもの雑誌。

書店では売っていません。

ご購読はこちらから

 

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申込み受付中

講座の内容についてはこちらのブログ

詳しくお話させていただいています。

 

2020.04.17 Friday 17:32|-|↑ページの先頭へ

絶対行くべし!トーハク特別展「きもの KIMONO」2020

先般、東京国立博物館が来年、空前絶後の

「KIMONOきもの 特別展」を開催するにあたっての、

報道発表へ行ってきました。

 

 

これは、もうきもの好きなら絶対行ってほしい

行くべき展覧会です!

 

室町から明治大正昭和までの、国宝4点ほか、
重文も多数展示される壮大なきもの展です。


 

まずは第1章 モードの誕生

室町時代〜江戸時代

目玉は国宝の「観楓図屏風(16世紀)」

(→後期展示)がでます!

ほかにも、京都国立博物館所蔵の安土桃山時代の重文の

練緯地四季草花四替模」(→前期展示)など。

 

海外からはメトロポリタン美術館から初里帰りの

「誰が袖屏風」も展示されます。

 

「誰が袖屏風」はいろいろあるのですが、

あの衣桁にきもの(小袖)がかかっている構図を

言い表したものです。

今回のメトロポリタン美術館のものは

初里帰りなのです!

 

 

第2章 京モード・江戸モード

京都のファーストレディたちの装いや、

島原、吉原の遊女たちが牽引した流行を

きものや浮世絵に見ることができます。

この時代は尾形光琳や浮世絵師たちの図案や美人画が

大きな影響を及ぼした時代です。

 

 

現代の振袖にもその図案が写されよく知られる熨斗目模様の

「重文 振袖 紅紋縮緬地束熨斗模様」(→前期展示)

菱川師宣「見返り美人図」(→通期)など。

 

 

 

第3章 男の美学

戦国武将の衣装や、若衆の振袖、火消し半纏などが出展。

信長、秀吉の陣羽織、家康の胴服など、トーハクから門外不出。

トーハクでしか見られない3武将の逸品が並びます。

 

「火消番点紺木綿地人物模様」(→通期)裏が迫力。

入れ墨に通じる精神が見て取れます。

「重文 振袖白縮緬地衝立梅樹鷹模様」(→通期)

小振袖だけれど、男物。当時、「若衆」の存在は

特殊な風俗によることが少なくなかったのですが、

誰が着たものは定かではないにしろ

色柄鮮やかで、鷹というモチーフに少年(青年)が

感じられます。

 

 

 

第4章 モダニズムきもの

文明開化の明治以降の、西欧趣味が流入したきものが並びます。

明治時代はまだ地味ですが、後期、化学染料が入ってきて、

大正時代にはその恩恵を受けた、鮮やかな色彩で

モダンなきものが並びます。

まさに池田重子さんの世界。

 

 

 

第5章 KIMONOの現在

最後は、現代の作家や岡本太郎など

美術家のきものコレクションが並びます。

 

 

さて、展示内容はお腹いっぱいになるくらいの充実ぶりですが、

実際にはお腹いっぱいになるほど、

会場でゆっくり堪能できるか……

というのが心配なワタシ。

なにしろ昨今の美術館の混みようと言ったら、

1時間以上並ぶなんてザラです。

しかも、巡回がないということは、

怒涛のようにトーハクに人が押し寄せるわけです。

 

が!

トーハクがうれしい企画も用意してくれていました。

その名も「プレミアムナイト鑑賞券」!

2種類あって、

  • 広報大使IKKOさんと担当研究員によるトーク(チケット・図録含む)
  • 422日(水) 18:30 21:00

6,000円 300名限定

 

  • 担当研究員のレクチャー(チケット・図録付含む)

  2020416日(木) 18:00 21:00

   5,000 600名限定

  18:30 19:00 レクチャ1回目(18:00 受付始)

  19:30 20:00 レクチャ2回目(19:00 受付始)

 

チケットは1700円(前売り1500円)

図録は多分25003000くらいでしょうか。

もしかしたら3500位かもしれない……。

しかも混む時間帯を避けてゆっくりられる。

これはどうしたってお得でしょ!?(笑)

 

私はしっかり申しみました。

のようなのでお早めに。

 

#トーハクきもの展 #東京国立博物館特別展きもの #トーハク空前絶後のきもの展 #特別展KIMONOきもの 

 

2019.11.01 Friday 15:32|-|↑ページの先頭へ

背が高いお嬢さんの振袖なら「別注」もあり

ご成人となられた皆さま、

そしてご家族の方々にも

心よりお祝い申し上げます。

おめでとうございます
 

先般の世論調査で「成人式は20歳」を

支持する意見が多かったようです。

 

18歳がNG意見は、精神的自立の問題に加えて、

受験期というのが最大のネックになっています。

かつて娘のセンター試験日を忘れていた

ダメ母な編集人みやざとしては、

そこ、論ずる資格がないのですが…(苦笑

 

今日はちょっと私的な内容にもなりますが、

背が高い、裄が長いなど、最近変化しつつ

ある若い女性の体型に関係した振袖についてです。

 

 

最近レンタルが多い振袖。もちろん、

その事自体否定するものではありません。

我が家の娘のときは誂えたのですが、

それは余裕があってというより、

諸条件でそのほうがよかったから。

 

娘は背が高く、さらには身長に比しても裄が長いので、

市販の振袖で作ることができる

デザインは限られていました。

 

で、呉服屋さんに相談して別注することにしました。

 

よく別注はすごく高いと思われるのですが、

染めであれば1反から作れるし、

「買う」ことが決まっているものなので

在庫保管のリスクもありません。

 

つまりその分の価格は含まれません。

刺繍や絞りなど、ものすごく凝った加工をいれて

作れば別ですが、トータルで検討すれば、

記念の一枚を誂えるとき、別注は実はそこまで

高いものではないと考えています。


そもそも寸法が一般的でない場合は、

それだけで何割か高くなりますよね。

ということで、店主と相談しながら、

図案から起こしました!

作家…ではなく、呉服屋さんを通して友禅の職人さんに依頼。

コストは加工の手間と、(柄の)ボリュームが直結。

なので、我が家は刺繍や金銀糸などの加工はせず、

技法は友禅のみで、柄のボリュームを抑えつつ、

見栄えがするように、デザインに一工夫しました。

 

限られた予算で見栄えがする、娘に似合うデザイン。

こちらのイメージやラフを渡して、

職人さんのスケッチを何案かいただき、

その中で決めたものを原寸で職人さんが

トレペに起こしたものを実際に娘にあてて、

柄の位置などを調整しました。

着彩した中から色を決め、地色は母娘とも「黒」で一致。

でも真っ黒ではなく、墨色。

 

帯は乱菊の柄に合わせて、

同じ菊の柄で染めの袋帯を作ってもらいました。

織りの袋帯は私が持っている中で合うものがあるので、

ここは母親の趣味に走りました(笑)。

 

今どきの振袖らしい変わり結びは私の織りの袋帯で。


刺繍衿に、帯締は丸ぐけ、履物は塗りのぽっくりで、

舞妓さんが手で抱えて持つような

タイプの長方形の籠を合わせました。


母の思い描く、まったくもって趣味でしかない振袖が(笑)、

大変知識が豊富な呉服屋店主の

力添えで完成しました。

(実は予算オーバー(^_^;)欲がでるとあるあるな結末)

 

 

 

やはり餅は餅屋で呉服屋さんのチカラは大きい。

とはいうものの、こういうと怒られるかもしれませんが、

呉服屋さんであればどこでも

同じようにできるかと言えば、

実はそうとも言えないと思います。

 

絹物の別注を作りなれているところ。

そういうところは手の混んだ要望の悉皆も

キチンとできるところです。

 

そしてセンスがいい、趣味がいいところ。

そこはいまどきなので、呉服屋さんもきものによって、

選び分けてもいいかもしれません。

かつて「呉服屋」と「太物屋」が別であったように。

 

現在はその別がなくなり「呉服屋」さんが

太物(木綿や麻、綿麻等)も扱い、

カジュアル全盛のいまは、そういうなかで、

木綿、またはカジュアルに特化したお店が増えてきています。

 

従来の呉服屋さんに限らず、

ネットから進出した「きもの屋」さんもいます。

 

そのお店が何を得意で、何を売りにしているか、

何に特化しているかという点が見極めだと思います。

そこが、先程いった、頼むきものの種類によって、

お店を選んでもいいのではないかと、いうことです。

 

 

 

編集人はきものに詳しいのでできるけどのでは……

と、思われる向きもあると思います。

確かにそこは否定しませんが、

だからこそ、一般のかたは「きもの(絹)」に詳しい、

別注になれている呉服屋さんのサポートを

受けることが大事かなと思います。

 

因みに、別注を頼むお店の条件を幾つか挙げましたが、

優先順位でいえば、別注を作りなれているのと同じくらい、

(個人的にはそれ以上に)

「趣味の良い」「センスの良い」点を重視します。

 

じゃあ、そのセンスの良さって、どこで見るんですか?

ってハナシですよね(^_^;)

 

確かに、ここは難しい。

でも、少なくともきものユーザーの間で知られている

お店の中での比較はできると思います。

 

木綿など織物中心か、振袖が販売の中心か。

一般的な絹物を扱うお店か、悉皆に長けているお店か等々。

そこのHPを参考にするのもひとつです。

 

 

あ、言っておくと、呉服屋さん、

ネット関係が苦手なところが多いです(笑)。

なのでHPのセンスで決めるのは難しいところがあります。

HPの作りだけでなく、ブログがあれば読んでみて、

誂えの報告がある、そしてアップしている取扱商品の

趣味が良いと思えれば候補に挙げてもいいと思います。

 

カジュアルきもの中心に

ネットショップにチカラを入れているところが

必ずしも「コーディネート」の

センスがいいとは限りませんから。

 

かといって、振袖にチカラを入れているところが

いいかといえば、個人的にはダメではありませんが

それほどオススメのポイントにはならないと考えます。

あと大手チェーン店は…絶対やめましょう…(コソッ)

 

画像の帯は染めの袋帯のほうですが、

このときはお太鼓ではなく変わり結びにしました。

場所が洋風な作りだったので籠ではなく

洋ブランドの、赤の小ぶりのバッグを合わせて。

あくまで、母の趣味なコーディネート(笑)です。

 

2019.01.14 Monday 15:37comments(0)↑ページの先頭へ

きものは自由でいいのです

きものにスニーカー履きたければ履けばいいし、

パーカーをInしたかったらすればいいし、

対丈で着たかったら着ればいい、と思います。

 

で、白半衿・白足袋できものを

着るのが好きならそうすればいいし、

お太鼓が好きなら別に

帯でWリボンすることないし、

季節のルール(慣習)も大事と思うなら踏襲すればいいのです。

 

いーじゃん……と思うわけです。

 

私はどちらかというと、

いまは白半衿・白足袋が好きで(若い頃は違った)、

靴はあわせないほうで、

でもKAPUKIさんの革の帯ベルトは欲しいと思っていて、

黒羽織と紋はカッコイイと思うから

エルメスのスカーフを羽裏にした黒羽織には

一つ紋をつけて作って、

まあまあフォーマルじゃないシーンや“普段”にも着ています。

 

それがナニか?

 

でも、フォーマルでは……という言い方がそもそも、

カジュアルと対峙していて好きじゃないのですが、

現代の礼装もしくは正装として捉えられている服装は、

自分のためではなく誰かのために着るという、

「祈り」があるものだと思っているから、

その時代の価値観や美意識に

添うことは大事だと思っています。

 

花嫁衣装でさえ、自分のためではなく、

相手のためであり、自分の家族のためなのだから。

あらたまったシーンにおけるきものは、

現代では“結界”だと思っています。

 

自由に着るカジュアルはステキです。

時代の尺度にそった正装はカッコイイです。

 

正統派やフォーマル志向でさえ
“自由”の範疇なのです。
そうしたければすればいいというだけの話です。
時代のなかで着るものが変わらないって、
ヘンじゃないですか。
変わることを恐れる人々は利害でしかないんじゃないかなあ。
と思うのは、ちょっと過激ですか?

2018.03.24 Saturday 00:39comments(1)↑ページの先頭へ

2018年、新年のご挨拶と、鶴の白生地の誂え染め

2018年、明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。

 

戌年。

ということで、誠にもって恐縮ですが、

編集人の愛犬に働いてもらい、

年賀写真撮りをしました。

 

12年に1度くらいは

働いてもらおうということです(笑)。

 

IMG_6748_bのコピー.jpg

 

ご挨拶に着たきものは、

昨年、デッドストックの白生地から

染めた洒落紋付きの無地です。

 

白生地から染める自分のきもの。

無地染めなら、そこまでハードルが高くなく、

自分だけの一枚を作ることができます。

 

参考までに、このきものについてちょっとお話しますね。

 

ちょっといいながら、長めです(笑)。

実はものすごい、あり得ないミスをしたきものなのです。(^_^;)

 

きものは、元は婚礼用の緞子の白生地。

先に説明の通り、デッドストックのものと遭遇しました。

いまはもうない、「聚楽」という会社の、

どっしりした、そして緞子ならではの、

しっとり、ヌメリとしたテクスチャーがあります。

 

地紋が、ウフフフの「鶴」!
鶴です。鶴。 

言葉だけで聞くと、鶴の地紋の白生地。

自分用に染めようとは思いませんよね(笑)。

実際、婚礼用であって、オバちゃんようではありません(笑)。

 

IMG_2264.JPG

 

でも、なんていうのでしょうか。

いまだから、いまだから、

この“鶴”のクラシックさが、

新鮮でおしゃれに感じるのです。

自分で言うのもナンですが(笑)。

 

しかし、自白すると(笑)、

これは怪我の功名というヤツです。

 

実は、手元にあったデッドストックの白生地は

地紋が2種類ありました。

孔雀と、鶴。

 

孔雀は鶴に比べるとかなり大きな柄になります。

前身頃にその孔雀が来るように仕立てたら、

カッコいいだろうなと、迷わず、

選んだのは、孔雀でした。

 

先には、いかにも偉そうに、

クラシックでおしゃれ、と言いましたが、

さすがに“婚礼の鶴”を

即、選ぼうとは思いませんでした、普通です(笑)。

 

そうなんです、ワタクシは

 

“鶴”ではなく、“孔雀”を選んだ!

 

…………………はずだったのに。

 

「では、この色でお願いしますー♪」と、

色を決めて、染め屋さんに白生地を手渡しました。

 

 

そして、仕立て上がってきました。

 

きものが入っている、たとう紙の白さ、真新しさ。いいですねー。

ほんと、この瞬間がワクワクしますよね。

開けて、ごたいめーん! したら、

 

は…………………????(最初、意味がわからず)

 

 

え? え!? え、え、えー!?(状況を分析)

 

 

はあああああああーーーっ!?!?!?(状況を把握)

 

頼んだ白生地、孔雀のつもりが………間違えて鶴を出していた…のです。orz

 

この後は早送りします(笑)。

 

が、びっくりしたのは最初だけで、

すぐに立ち直りました(笑)。

鶴が孔雀に勝利していたのです。ステキな出来だったのです。

ほんとうに。やせ我慢ではなく(笑)。

 

これが、まさに怪我の功名。

孔雀より柄が小さめに(といってもそれなりの大きさです)

入っていた鶴は、緞子の無地染めのなかで、

くっきり浮かんで、とてもとても、

ある意味、斬新とも言える、

エッジが効いた効果が出ていたのです。

 

しかも、細身で小柄はワタクシには、

これくらいの大きさの柄が結果オーライだったという、

正の(負じゃなく)副産物が重なり、

かなり自慢の一枚になったのでした。

 

 

そして、洒落紋は繍い紋。

「月刊アレコレ」のマークの“筆紋”。

筆紋は、載っている紋帳もありますが、

乗っていない紋帳も多い珍しい紋です。

 

8本の筆が放射状に並んだ、

一見、船の舵にも見えるかたちです。

 

IMG_2461.JPG

 

 

筆ということで、=ペン。

紙媒体、編集、メディアのシンボルです。

 

そして、舵にみえるかたちは、

きものの未来へ漕ぎ出す意、

その未来への指針となる意、

が、込められています。

 

 

ちょっと説明が前後しますが、

この無地はKICCA(きものカラーコーディネーター協会)の

周年パーティで着るために誂えたものです。

ワタクシはKICCAの代表理事の能口先生とともに

理事を努めています。

 

なので、セミフォーマル風味を出しつつ、

パーティに合わせて「色」にこだわり、

ありきたりではなく、おしゃれだなと

思える仕上がりにしたかったのです。

 

そのためのポイントが、

  • 洒落紋
  • そして、袂を長めにすることです。

 

きものがまだ普段着で生活着だった戦前までは、

普段着だからこそ、お出かけ着との差を付けていました。

昔の言い方をすると「よそいき」ですね。

 

それぞれの暮らしのレベルなりですが、

絹物、柔らかもの、上質な生地など、素材の違いと、

もう一つは、裄や袂がやや長めというものでした。

袖丈は好みや身長で多少の違いがありますが、

襦袢もよそいき用に合わせて用意しています。

 

しかし、きものを着ることが少なくなった現代では

1枚の襦袢ですべてのきものに合わせられるように、

袖丈を同じにするようになっています。

 

いま標準となっている1尺3寸(約49cm)は

普段着に合わせるというより、よそ行きに合わせての袖丈です。

 

たまに、おばあちゃまの箪笥に入っている、

普段着的な織物(紬や木綿やウール)で、

袂が短か目のもの、ありますよね。

身長の違いもありますが、

普段着だからという理由が大きいと思います。

 

いまは襦袢まで用意することは少なく、

1枚の襦袢で、すべてのきものにあわせられるように、

袂を同じ長さに揃えるようになりました。

 

最近はよそいきというより、背の高いかたが多いので、

バランスがいいように、1尺3寸より長めの袂を

勧められることがあると思います。

 

私も袖丈はすべて1尺3寸です。

小柄なのでもう少し短くてもいいのですが、

襦袢が不便なので揃えています。

 

その代わり、普段着は袖の丸みを大きめにしています。

なぜか? 

袖の丸みに関しては、別の機会にお話したいと思いますが、

この丸みにまた意味があるんです。(^^)

 

 

話を写真のきものの、「袖丈長め」に戻しますと、

フォーマル感というより、ちょっとおめかし感を割増にしたかったので、

袖丈を1尺5寸(約56.7cm)にしました。

 

しかし、問題が。

 

そうです。襦袢です。

そこで、今回はきものに合わせて、八掛けと

 “うそつき袖” を一緒に袖も染めてもらい、

直接きものに取り付けてもらいました。

 

白生地がたっぷりの四丈(よじょう)ものだったので、

八掛けを染めて、かつ長め袖も足りました。

(※四丈(よじょう)もの=共八掛けが取れる要尺。現在は四丈ものとはいっても四丈以上長さがあるものが多い)

 

襦袢は筒袖の半襦袢を着用、下は柄物の裾よけです。

 

アンテイークが好きなかたは、襦袢の袖丈に悩むと思います。

器用なかたなら、ご自分で取り付けることもできそうです。

ワタクシはできませんので、プロに頼みますけど(笑)。

 

こうして、唯一無二の、自分の無地が完成したのです。

 

ところで、袂の長さに年代は関係ないの?

という疑問があるかと思います。

 

長い袂は未婚者の印で、

既婚者は「袖を振る」ことをやめるために、袖を留める。

と言われています。

「揺れる袂」は女心の象徴として捉えられているからです。

袂には魂が入っているんですね。

 

しかし、ここ5〜6年は、大人の振袖を楽しむ人も結構います。

正式な席ではなく、おしゃれや楽しみとして着る振袖です。

着るものがファッションと考えたら、全然問題ないと思っています。

似合うかに合わないかというのは別として(笑)。

袂の長さだけでなく、色柄の問題もありますからね。

 

ワタクシとしては、自分にまあまあいい「長さ」の限界を(笑)、

1尺5寸としたというわけです。

 

最後に。

白生地のデッドストックは掘り出し物があります。

いまでは織れない昭和のいい生地があるからです。

今回の緞子の生地も、ほんとうにしっかりしたいい生地でした。

 

シミやカビが出ていなければ、そして濃いめの色に染めるなら、

そのまま使えることが多いです。

 

薄い色だと、絹特有の黄ばみが出ていると、色に影響がでますから、

お店のかたと相談してください。

 

デメリットは、古いものは反幅が狭いこと。

まあまあ、8割方は大丈夫だと思いますが、

165cm以上のかただと、こちらも相談してくださいね。

 

本日も、新年のごあいさつと言いながら、

長々とした白生地の話になりました。

改めまして、本年もよろしくお願いします。

こんな編集人が作っている月刊アレコレは

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創刊13年目になる月刊アレコレのスローガンは

「袂に知恵と工夫、自分サイズのきものをたのしもう」

着る人が作る雑誌です。

2018.01.02 Tuesday 16:56comments(0)↑ページの先頭へ

コットンウールの着物とキッチンクロスの半衿

今日はしじら織りコットンウールと

ワッフル半衿のお話です。

 

木綿の阿波しじら織は着ているけれど

コットンウールはなかったので、

いつも通りのお試し精神で一昨年作ってみました。

もちろん、自腹。

きもの雑誌の編集者の鏡です(T^T)(←自分でいう

 

385綿ウール.jpg

 

 

羽織は撫松庵。

帯は西村織物の半幅帯。

ピーコックのリバーシブルで使える三分紐は

アレコレオリジナルの「カンタービレ」。

 

さて、

このコットンウール。

去年はそれほど着ませんでした。

2年目です。

着ようと思えば10月くらいから

着られると思いますが、

私は12月に入ってから。

でも1枚では寒いの羽織やストールと合わせて。

11月あたりはこのきものの

ベストシーズンだと思いますが、

上下、防寒具を組みわせて

10〜4月でしょうか。

さて、2年目での感想と評価、

いきなり入ると、

 

いい点

・軽い

・安価(お仕立て付きのところで約25,000円)

・着付けはラク(でもおはしょりがモコモコするので要注意)

・シワになりにくい

 

いまいちな点

・裾捌きはあまりよくない

(特に私は居敷当てに綿を使ったから

 なおさらだと思います。

 木綿やウールなら大体、

 綿か化繊でしょうか)

・落ち感がなく気持ち膝が出る

・ややもっさり感があり太ってみえるかも

 (逆に痩せ気味の人には補整が要らないメリットあり。

  人によります。今日の私は補整はいっさいなし)

・洗濯して多少縮みあり

  →これについては以下で詳細を。

 

縮については、私が購入したところは

「湯通し済」なのでほとんどないということでした。

しかし洗ったあとに居敷きあてが

裾スレスレにきているということは、

居敷きあてが長くなったというのではなく、

表が少し縮んだのかなと思います。

着られますが、動きで居敷きあてが

チラリと見えないか

気になるところではあります。

木綿の阿波しじらとほぼ共通する

メリット・デメリットです。

 

仕立ては購入したネットショップではなく、

別に頼み、大居敷きあてをつけてもらいました。

大居敷きあては綿素材。

 

このきものに限りませんが、

洗う前提の場合、居敷きあての素材も

重要なポイントになります。

収縮率が同じ素材ならいいのですが、

なかなかそれはありません。

また、スベリや肌触りの観点もあります。

 

洗って縮ませた正絹が最適といいますが、

これをしてくれる仕立て屋さんや呉服屋さんは

ごくごく少ないです。

 

しじら織りのコットンウールは

おしゃれとして着るというより、

ほんとうに普段着として着る、

用の気軽な一枚かなと思います。

居酒屋さんに行くときなんかは気兼ねないですね。

木綿と同じ扱いではありますが、

柄が限られているので、

木綿よりおしゃれとしての楽しみは少なめ。

 

 

そして、もうひとつの話題、

今日は半衿です。

この半衿は「切り分けて」7〜8年愛用しています。

切り分けてというのは、

これはキッチンクロスだから。

ほんとうにキッチンクロス用かは

定かでありませんが、

「キッチンクロス」として

切り売りして売られていたから。

ワッフルが大小あって、両方購入。

今日のものはワッフル大きめ。

 

385しじら織り綿ウール のコピー.jpg

 

切り分けてといっても

使い捨てというわけではなく、

コットン100%なので

何回も洗って使えます。

私は横着して切りっぱなしで使っているので

切り口のほつれが目立ってくると

端を切り切りして使っています。

他の半衿同様、衿の汚れが

取れなくなったら替えます。

 

ほっこりしていて冬によく使います。

生成りなので衿元がやさしげに映るのですが、

シャープに、モダンに見せたいときは

合わないかなあ。

 

そして普通より「首がすごくすごーく短いのー」という

自覚があるかたは埋まり加減になるので

大きなワッフルは避けたほうがいいかもしれません。

 

この半衿はいつも「カワイイ」と

話題にされることが多いので、

いままでにも紹介しています。

ここ数年、紹介していなかったので

久しぶりに取り上げてみました。

木綿の端切れを半衿に使うのは今や当たり前。

それらはプリントが多いと思います。

地風や素材感で見てみると、

こちらもおもしろものがありますよ。

 

 

ところで、上の写真で使っている

三分紐カンタービレの紹介です。

三分紐ですが、長尺なので帯留がなくてもOK.

これはほんとうにすぐれもの。

「五通り」使える三分紐なのです!

龍工房に依頼して

製作してもらった、

「月刊アレコレ」オリジナルです。

三分紐と言えど、締めやすい!

締りがいい!重い帯でも大丈夫です!

 

かつ、両面、しっかり使えるデザイン。

……と語り始めるこちらも長くなるので

詳細はショップで(笑)。

 

ぽっちゃりさんで普通の三分紐が

短くて困るという方にもおオススメです。

こちらでお求めいただけます。

(ピーコックは売り切れです。

グレーは残り1点となっております。)

スカイブルーはこちらです。↓

 

 

カンタービレ1.jpg

 

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2016.12.24 Saturday 18:34comments(0)↑ページの先頭へ

紬を染替え!オドロキの出来栄え、Before After!

今日は染替えのお話。

染替えは小紋や無地、付下げなど、

染め物じゃないとできないと思っていませんか?

 

Non non ( ̄▽ ̄)b

紬でもできますのよ、と言うお話。

 

といいますか、紬を染替えましたというお話です。

 

こちら、超若かりし頃、

(日本語的・文法的なツッコミ禁止)

ン十年前に作った紬です。

なぜこんな色柄を作ったかは、

記憶が定かではないのですが、

まあ、紬らしい紬としてそれなりによく着ました。

 

でももう黄土色は肌色がくすんで見えるな〜と

いうお年頃になりまして、

八掛も切れてきたし……というわけで、

八掛を天地返してお直ししようか。

どうしようか……。

 

↓これです、

 

IMG_8251.jpg

 

そうだ、染替えをしよう! そうしよう!

黒だ、黒に染めよう!と思いつつ、

しばらく放置プレイ(6年近く塩漬け…(汗))。

 

この秋、たまたまタイミングがあり、

この紬を洗い張りに出しつつ、

染替えもお願いしました。

 

当初、黒とは思ったのですが、

そもそも格子の柄があるので、

色の濃淡があります。

なので、実は上に色をかけても、

元の色や柄はかなり影響します。

しかも染めより織りのほうが色が堅牢です。

 

それが黒であっても、

“まったく何事もなかったような黒”には、

なりません。

 

そこを専門店や悉皆屋さんと相談しながら、

元の色を考慮しつつ何色にしようか。

何色がいちばん、いい色として仕上がるか、検討します。

これはしっかりした知識と経験を持つお店でないと、

ちょっとむずかしいことです。

でも逆に、そういうお店と出会えたらラッキーです。

 

「真っ黒にしたい?」

「いえ、多少、下の格子が浮き出るくらいでも

おもしろいので、そのあたりの黒のかけ加減は

おまかせします」

 

そして、上がってきました!

 

染替え八掛.JPG

 

 

感涙!

すばらしい! すばらしくいい染め上がりでした。

普通なら、もとの八掛も染替えますが、

今回はだいぶ傷んでいたので、新調。

それも既存の八掛ではなく、

色見本を渡して誂え染めしました!

それが、このハデハデしい(笑)ピーコックグリーン。

 

でもワタシ的にはちゃんと根拠があっての

ピーコックグリーンなのです。

その根拠はー−、

元の黄土色(黄色み)が影響して、

やや緑みのある染め上がりになっていたからです。

 

八卦はあまり目立たないほうがコーディネートは

しやすいというのは確かです。

ここは好みなので、遊ぶか、着回しをとるか、です。

私は遊びたい派。

でも着回しも十分できる地色です。

 

地風もやわらかくなり、

一枚新調したのとまったく変わらない。

お直し、染め直しは高い、

買ったほうがいいという人もいますが、

とーんでもなーい。

 

6〜7万円で、こんな紬、手に入りません。

洗い張り、仕立て直しをしてです。

もとの八掛や胴裏が使えれば、

もっとリーズナブルです。

 

昔のもののほうが生地が良いものが多いので、

トライしてみてください。

これは直接お店へ持ち込んでやり取りすることを

オススメします。

私も紬は初の染替えでした。

元のいろがあるので、

何色にでも希望の色に染められるわけではありませんが、

そこを考えながら、相談しながら決めていく、

もうメチャたのしい時間です♪

 

今日はこれにこの前のブログでも紹介している、

(特集でも紹介している)

しゃれ黒羽織を合わせて。帯は牡丹唐草の型染め九寸。

 

385黒羽織と染替え紬.jpg

 

 

しゃれ黒羽織、これですね。↓

月刊アレコレが提案する

しゃれ黒羽織についてはこちらのブログで!

 

 

 

こちらは帯を八掛の色に合わせて

グリーンの格子の織りの八寸。

 

385染替え紬.jpg

 

このお直し、染替えも、いつか特集にしますね!

(切った自腹は仕事で元をとる主義)

 

 

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2016.12.12 Monday 21:51comments(0)↑ページの先頭へ

大量にきものを洗ったときの裏技

きもの、結構な大物ということもあり、

天気や多忙さとの兼ね合いでついついためてしまうこと、

ありませんか?

 

ないというマメなかたには不要な裏技ですが(笑)、
たまにあるかもというかたのために。
きものの洗濯でちょっと使えるかもな裏技の紹介です。

 

まず先に。

当たり前ですが、枚数を洗うときは天気は

必ず最高に良い日を選んでください。


前にも紹介しましたが月刊アレコレ編集人が

おすすめしている洗濯方法は、

 

ネットに入れて洗って→軽く脱水→

半乾きで取り入れて本だたみ→

バスタオルに挟んで重石(たたんでできる凹凸は

紙や手拭を入れて埋めて平らにしておくとより丁寧)→

半日放置→取り出してきものハンガーにかけて湿気を飛ばす

(詳しくはこちらのブログをご参考ください)

 

IMG_8567.jpg

 

 

IMG_8570.jpg

 

 

 

これはアイロンが嫌いな人(編集人)向き。
たたむのが嫌いな人は半乾きのときにアイロンをかけて、

後、湿気を飛ばすために乾すというやり方があっているようです。

 

 

昨日、編集人、12枚、洗いました!エッヘン!(←いばるとこじゃない)

 

で、正直にいいます。

その中には川越唐桟や保多織とともに、

小千谷縮、綿紅梅、綿麻、セオα、ポリ絹の

夏物も入っております。

 

いえ、8割夏物かも(^_^;)

もう1回くらい着られるかな……と、

そして11月に突入という…いやお天気の関係も…

仕事も多忙で……ゴニョゴニョ……

 

 

ま、その辺の事情はさておき(笑)。

 

ところで「たたむ」ときですが、
「手アイロン」をしっかりかけるひと手間で仕上がりが違います。
半乾きの状態でできるちりめんジワは

手の平で撫でてあげるとかなりキレイにシワがとれます。


この手アイロン、実は普段のたたみでも優秀な“グッズ”です。

 

 

 

IMG_8576.jpg

 

 

↓ちょっと色が違っていてごめんなさい。同じモノです。

川越唐桟。

 

IMG_8577.jpg

 

 

↓これで重石をしておくとキレイになります。

大きなタタミじわは気をつけてくださいね。

 

IMG_8578.jpg

 

 

洗っては干し、半乾きでたたむ、を繰り返すので、

天気がいいとなんとか干し場所は交互に使うことができます。


が、たたんで重石をしておく場所。
1枚ずつでは置くのでは大変。

(何枚から大変かは各自でご判断ください(笑))。

 

そして、もう一つ、横着者の裏技です(笑)。


きものときものの間にタオルをはさみ、

その上に重石という技があります。

 

IMG_8595.jpg

 

 

 

「まさにきもののミルフィーユやぁ〜」(彦麻呂風、古いけど)
その上にたっぷりの生クリーム……じゃなく重石をします。
(この時点でミルフィーユは漬物になります)(^_^;)

 

 

きもの自体も重石にしちゃおう戦略。
袖は左右交互になるように重ねます。

凹凸がきつそうなところは手拭で埋めておきます。


これもオススメ技ですが、いちばんのオススメは、
漬物にするくらいためないことです(^_^;)

 

 

 

 

月刊アレコレは毎月5日発行。

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2016.11.14 Monday 20:56comments(0)↑ページの先頭へ

17年目にして陽の目を見たレースのコート

今日は取材で「盛装」パーリーへ行ってきました。

正装ではなく盛装ということで、

フォーマルでもカジュアルでもいいのだけれど、

どちらにしてもちょっと大人らしい工夫が必要かな……


ということでの、今日のきもの。



タレものにしようと思いながら、取材で動くことも考えて、

着崩れしにくい紬にしました。



盛装オフ会.jpg









むか〜しむかし、デザイナーズブランドなるものが、

めっちゃ流行った時代がありました。


いまでは、ちょっというのも恥ずかしい

ーヌという某ブランドのソレです(笑)。

紬の熨斗目訪問着に、ひなやさんの袋帯。

変化球で打ち取ろうとする…みたいな盛装です。(意味不明ww)




で、これからが今日の話題です。(前フリ長っww)

今号の月刊アレコレの特集が「薄羽織が旬!」

で、コートも含めた薄物の羽織りものがテーマです。



ということで、誂えてから17年目にして初めて着た

レースのコートの話です。



IMG_5419.JPG




その昔、染めから頼んで作ったコートなのに

仕上りの色がやたら地味になってしまい、

どうしても着る気にならないまま15
年。


(元色の画像がなくてすみませ〜ん)


レース自体は好きなので、なんとか別なものに仕立て直せないかと、

博識でびっくりなアイデアできものを

再生してくれる呉服屋さんに相談しても、

「ま、その色が似合うようになるまで待つんだね」  


えーん( ;) 何かに変えたいのにー。




こうなると意地でもなんとかしたい。

が、結局いちばんオーソドックスな染め替えしかないということに。

はい、一度も着ないまま染め替え〜 (T_T)


気仙沼たかはしきもの工房へ依頼しました。

満点スリップなど和装肌着の専門メーカーで知られるお店ですが、

大元の専門は京染屋さん。つまり悉皆屋さんです。


おしゃれじゃないじみ〜なブルーグレー。

染め替えは抜染(色抜き)をしなければ

元の色より明るい色を染めることはできません。


そこまでコストをかけるのもなあと。

上から色掛けをしてもらいました。


色は女将にお任せしました。

染め替えは抜染がなければ、地域やお店によりますが、

20,000〜30,000円くらいだと思います(ものにもよるので参考程度)


普通は「ドボン(染め)」という、

染液にドボンと浸ける浸け染めです。

このとき、シミやヤケがあるとその部分に色ムラができるので

注意が必要です。




そして上がってきたのはこの赤みにが立った臙脂。

(下の画像は光源の関係でかなり明るくなっています)



IMG_5416.JPG



これなら着られるかもー。

これが一昨年。




もともと羽織のほうが好きでコートを

着ることはあまりなかったのですが、

月刊アレコレの今号の特集が「薄羽織(とコート」。


取材した山村若静紀先生のコートが

素敵だなーと思っていたところに

(このブログの下の記事で美しい画像をアップしています)、

「盛装」がお題のパーリーですって!!??(笑)



苦節17年。やっと陽の目をみたレースのコートなのでした〜。



で、もう一つ。

どうしても、どうしても着られない。

嫌いじゃないのにうまくコーディネートできないとか、

着るタイミングが来ない……

というきものや帯、ありますよね。



普通なら人に譲ったり、ヤフオクに出したりすると思います。

うちも別に豪邸ではありません。

むしろ、普通より狭いという絶対の自信があるほどのうさぎ小屋。


でも私の場合、撮影で使うことがあるので、

ほぼ処分することはありません。私物でも。



なのでモノは増える一方。

であれば、せめてなんとかしてワードローブに加えて、

減価償却したいと思うわけです。


そもそもが片付けられない部類(というか純血種ww)。



で、それまでどうしても着られなかったもの、

イマイチ評価が低かったものが、あるタイミングで

いきなり「王子様〜」になることがあるのです(笑)。



その要素は、自分の年代だったり(カナシイけどw)、

人から似合うと言われた客観的視線だったり、

そのものが実はすごくいいものだよという、

ちょっとヤラシイ囁きだったり(笑)。



といういままでにない評価が外部からもたらされて、

いきなり地味な眼鏡女子が、眼鏡とって髪を解いたら

💗胸きゅんな女子に変身…みたいな、王子みたいな、

ま、少女漫画チックなパターンがあるわけです。ほんと。



このコートもそういうことだったと思います。

収納は、物欲と並行する悩みですよね。

何十年というスパンでモノを保管できるわけではありませんが、

でも、でも。きものは悩むものはとっておいたほうがいいですよ。


私ははっきり言って、近まりさんの断捨離はムリです(笑)。

周辺を身軽にしたくて本を読んだけど、

「魔法」にかからなかったその理由は、

あの本には人のエモーショナルが薄いなあと感じて。

結局はそれがモノが溢れる元凶なのだというのですが。。。。



私はムリ。。。でした。


ま、これはどうでもいい話ですが(笑)、

醜い蛙が、実は王子様だったという物語が、

きものは結構ありますよというオハナシです。


オシマイ    (笑)




「月刊アレコレ」は書店では買えません。こちらからポチッとどうぞ。

創刊11年目で、毎月5日発行! 現在通巻129号。(ガンバってるインディーズW)

A5版32Pのコンパクトなサイズに、着る人目線のきもの情報が詰まっています。

小さいけれど、毎月、丁寧に取材・撮影して、制作。

特集もしっかり組んでおりますよ=ヽ(=´▽`=)ノ

きくちいまさんのイラストエッセイは創刊からの人気連載です。
 

2016.04.10 Sunday 00:55comments(0)↑ページの先頭へ

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